内容説明
金沢はひがしの茶屋街、置屋「梅ふく」の芸妓・朱鷺は、7歳の頃に売られてきた。同じ歳で双子のように生きてきたトンボや女将をはじめ、個性的な梅ふくの面々に支えられ、いまは朗らかに逞しく一人前の芸妓に成長している。そんなある日、朱鷺は密かに胸に秘めた相手・浩介から所帯を持とうと告げられる。花街の外で生きる―。そんな選択肢があるなど考えもしなかった朱鷺は嬉しい反面、養っている家族のこと、トンボら、梅ふくの仲間のことなどを想い逡巡もしてしまう。さらに思いもかけぬ障害が立ちはだかり…。思うに任せぬ境涯のなかでしなやかに生きる女性たちを描く、渾身の連作長篇。
著者等紹介
唯川恵[ユイカワケイ]
1955年、金沢市生れ。銀行勤務などを経て、84年「海色の午後」でコバルト・ノベル大賞を受賞し、作家デビュー。さまざまな女性たちの心に寄り添う恋愛小説、エッセイで多くの読者の共感を得ている。2002年『肩ごしの恋人』で直木賞、08年『愛に似たもの』で柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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