まぼろしの女―蛇目の佐吉捕り物帖

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まぼろしの女―蛇目の佐吉捕り物帖

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  • サイズ 46判/ページ数 272p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784163918884
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

本格ミステリ×捕物帖!

本所一帯を縄張りに、十手を預かる若い岡っ引きの佐吉。
「相生町の親分」と呼ばれた亡き父の人徳で、周囲の人々に顔を立ててもらってはいるが、いまだ自分の生業に自信が持てずにいる。
ある朝、大川で若い女の死体があがった。裸に剥かれ、真新しいあざと傷だらけ。顔は腫れあがり髪まで剃られているという惨たらしい有様だった。
佐吉はさっそく女の身元を調べ始めるが、いくら聞きまわっても杳として知れない。
下手人は誰か。それ以前に、殺された女はいったい誰なのか?
町医者の秋高とタッグを組み、突き止めた事件の真相とは――
新婚早々に殺された妻と消えた夫。
死体のそばに二十四文銭を残す辻斬り。
寿命が尽きる寸前に殺された男……

男たちの意地。女たちの覚悟。執念と因縁が渦を巻く。
江戸を舞台に仕掛ける大胆不敵なトリック。
著者渾身の時代物本格ミステリ連作集。

内容説明

男たちの意地。女たちの覚悟。執念と因縁が渦を巻く。新婚早々殺された妻と消えた夫、犯行現場に二十四文の銭を残す辻斬り、寿命が尽きる寸前に殺された男…。駆け出しの岡っ引きが、着道楽の若医者と組んで事件を追う―。江戸を舞台に仕掛ける大胆不敵なトリック。著者渾身の時代物本格ミステリ連作集。

著者等紹介

織守きょうや[オリガミキョウヤ]
1980年ロンドン生まれ。2012年『霊感検定』で第十四回講談社BOX新人賞Powersを受賞し、デビュー。弁護士として働きながら小説を執筆。のち専業作家に。2015年『記憶屋』で第二十二回日本ホラー小説大賞読者賞を受賞。同作はシリーズ化され累計六十万部を突破、映画化でも話題となった。2021年『花束は毒』で第五回未来屋小説大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

162
令和に捕物帳を書くからには、それなりの意味付けと新しさが求められる。従来は主人公が単独で推理し犯人を捕らえていたが、今回は岡っ引きの佐吉と医者の秋高のバディで犯罪解明を担う。佐吉は特に頭脳明晰ではなく、秋高の医学知識に基づく推理を受けて不審点に思い当たる。加えて各編ではDV、不倫、ジェンダー、引きこもり、同性愛など現代でも難しいテーマを取り入れ、江戸の庶民の思いや苦しみを描くスタイルをとっている。しかも犯人が判明してもあえて捕縛せず、誰も傷つかぬ配慮を優先するのだ。工夫は認めるが、生ぬるさは否めなかった。2024/09/23

ちょろこ

129
堪能、の一冊。時代捕り物帖という名の本格ミステリ。主人公は年若い岡っ引きの佐吉。小料理屋の手伝いと岡っ引きでゆらゆら成長途中の彼の元に舞い込んだ5つの事件はどれも不可解なものばかり。その事件を町医者の秋高と紐解いていく過程は見事に面白い。一つ一つ重ね合わせていく佐吉たちの推理。と同時にまとわりつく座りの悪さ。それらを存分に堪能しながら真相へとじわじわ手招きされる時間は実に楽しかった。鮮やかな紐解きのその向こうに拡がる事情にちょっと鼻がツン。この時代だからこその苦しみから生まれる諸々の心情まで堪能の幕閉じ。2024/10/29

タイ子

100
捕物帖なので岡っ引きの活躍は当然ながらそこには人間の深い闇があり、運命を翻弄させる業があったりするので話自体が面白い。その上、これが江戸時代を背景にしか書けない部分があってそれが本作を時代小説として面白くしているのは間違いない。主人公の佐吉は優秀な岡っ引きだった父親の後を継いでまだひよっこながら周りの助けもあり頑張っている。佐吉の友人であり、医者の秋高の推理があっての「親分、でかした」の言葉を頂けるのだが…。事件解決までの二転三転、そして真相までの過程がすごく好き。織守さん初の時代小説、続編を待ちます。2024/09/28

itica

72
急逝した父親の跡を継ぎ、岡っ引きとなった二十歳の佐吉。友人である医者の秋高の手を借りて、慣れないながらも事件解決に挑む短編集。きょうやさんの時代小説は初めてだが、読み易く、人情味のある佐吉の采配に気持ちも緩む。特に印象に残ったのは「まぼろしの女」と「弔いを終えて」で、時代小説にしてはの意外性に虚を突かれた。シリーズ化してくれたら良いな。 2024/09/10

がらくたどん

71
混ぜるな危険!癖になる♪捕物帖の良い意味での融通無碍に本格ミステリの水も漏らさぬロジックを本気で混ぜたら?父の跡目を継いだばかりの目明し佐吉はまだ親分の器じゃない。自分が一番分かっている。でも事件は起きる。髪を剃られ裸体で浮かんだ土左衛門・武家屋敷で成敗された町人・旅の途中で消えた花婿・夜更けの連続殺人・病に侵された恩人の刺殺事件。捕物帖ならではの捜査方法や職権の枷が旧友の町医者秋高の推理を引き出し、その推理が時代の枷と佐吉の未熟を乗り越えて真相へ誘う。今に繋がる事件の背景が切ない。実に面白いものができた2024/10/31

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