内容説明
1960年代アメリカ。才能ある化学者だが女性ゆえ保守的な科学界で苦闘するエリザベスは、未婚のシングルマザーになったうえ失職してしまう。ひょんなことから彼女が得た仕事は、料理番組の出演者だった!?「セクシーに、男性の気を引く料理を教えろ」という命令に反して、科学的に料理を説くエリザベス。しかし意外にもそれが視聴者の心をつかみ―。全米250万部、世界600万部。2022年最高の小説がついに日本上陸!
著者等紹介
ガルマス,ボニー[ガルマス,ボニー] [Garmus,Bonnie]
アメリカ、カリフォルニア生まれ。テクノロジー、医薬、教育など幅広い分野でコピーライター、クリエイティブ・ディレクターとして働いていたが、小説教室に通って書いたデビュー作の本書が全世界でベストセラーとなる。オープンウォータースイマーであり、ボートの漕ぎ手であり、ふたりの娘の母である。現在は夫と犬の99とともにロンドンに在住
鈴木美朋[スズキミホウ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
226
2022年にデビュー作で最も売れた(全米250万部、世界600万部)作品という事で読みました。本書は1960年代女性科学者化学料理番組家族小説の快作でした。読メの女性読者に是非読んで欲しい作品、本書を読んで硝子の天井を打ち破って頂きたい。日本ではまだほとんど売れていないと思うので、書店員の皆様、来年の本屋大賞翻訳部門にノミネートさせてください。少し気が早いですが、翻訳小説として本年のBEST20候補です。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639179792024/02/07
ナミのママ
92
白衣を着ておたまを持ち仁王立ちする女性、インパクトあるタイトルにカラフルな表紙。面白そうと思って手にしたらまさに大当たり。1960年代のアメリカ、女性は家庭で子供を産み育てるのが仕事と思われていた時代。女性であるために博士号を取れず、入社した科学研究所では補助しか与えられない。妊娠したら解雇される。そんなシングルマザーのエリザベスがなぜテレビの料理番組に出たのか?エリザベスはもちろん、登場人物が犬まで含め面白い。女性をめぐる内容はシビアだがとにかく痛快。500ページ超えだが、一気読み。2024/02/05
愛玉子
65
60年代アメリカ。優秀な化学者のエリザベスが、女性であるが故に受けるハラスメントの数々は読んでいて辛くなるけれど、胸クソ悪い男共に(時々クソ女にも)歯噛みしつつ化学者としての信念を決して曲げずに毅然と進む姿は爽快。やがて彼女にとって大切な存在が出来(特に愛犬が良き)、彼女の行動や言葉に勇気づけられる女性たちも増えていく、まるで化学反応そのものの様に。飄々としたユーモアに吹き出し、温かな絆にほろりとしながらぐいぐい読めてしまう。ラストは綺麗にまとまりすぎな気もするけれど、このくらいの予定調和も心嬉しく読了。2024/04/12
pohcho
65
60年代のアメリカ、化学者のエリザベスは未婚の母になったことで職を失ってしまう。数年後、幼稚園の娘と二人暮らす彼女はひょんなことから料理番組に出演することに。「セクシーな服装で家庭料理を」という命令に反し白衣を着て科学的に料理を説くエリザベス。それが意外にも視聴者の心をつかんで人気番組となり、やがてエリザベスと周囲の人々、視聴者の人生までもを大きく変えていく。女性差別があまりにもひどくてげんなりだけど、最後はよき方向に収まりとても気持ちよく読了。信念を貫くヒロインがいいし愛犬シックス・サーティも可愛くて。2024/02/28
ヘラジカ
51
エッジの効いたフェミニズム文学でありながら類稀なるページターナーでもある痛快無比の傑作。現代に通じる胸の悪くなるような女性蔑視の時代を描きつつ、人間(生命)と化学、それらを超えた崇高な”結びつき”をも鮮やかに描いている。明るいばかりの物語ではなく、むしろ普通なら読むのが嫌になるような筋書きのなかにあっても、ユーモアの煌めきが読み手の心を掴んで離さない。終盤は綺麗に収まり過ぎているようにも見えたが、それも現実感のあるおとぎ話として読めて胸がすくような気持の良さがあった。愛すべき驚異のデビュー作!2024/01/17