神と黒蟹県

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神と黒蟹県

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  • サイズ 46判/ページ数 240p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163917757
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

「黒蟹とはまた、微妙ですね」
微妙、などと言われてしまう地味な県は全国にたくさんあって、黒蟹県もそのひとつだ。
県のシンボルのようにそびえたつのは黒蟹山、その肩に目立つ北斎が描いた波のようにギザギザの岩は、地元では「黒蟹の鋏」と呼ばれ親しまれている。県庁や裁判所を有し、新幹線も停まる県のビジネス拠点としての役割を担う紫苑市と、かつての中心地で歴史的町並みや重要文化財である黒蟹城を擁する灯籠寺市とは、案の定、昔からの遺恨で仲が悪い。空港と見まごうほどの巨大な敷地を持つショッピングモールの先には延々と荒れ地や牧草地が続き、廃業して解体されてしまって今はもう跡地すらどこだかわからない百貨店に由来する「デパート通り」はいつまで経っても改称されず、同じ姓を持つ住民ばかりの暮らす村がある。
 つまり、わたしたち皆に馴染みのある、日本のどこにでもある「微妙」な県なのだ。
この土地に生まれ暮らす者、他県から赴任してきた者、地元テレビ出演のために訪れた者、いちどは故郷を捨てるもひっそり戻ってきた者、しばしば降臨する神(ただし、全知全能ならぬ半知半能の)。そういった様々な者たちのささやかでなんてことないが、ときに少しの神秘を帯びる営みを、土地を描くことに定評のある著者が巧みに浮かび上がらせる。

内容説明

「黒蟹とはまた、微妙ですね」。日本のどこにでもあるような「地味県」の黒蟹県。そこで暮らす、そこを訪れる、名もなき人々や半知半能の神がすれ違いながら織りなす、かけがえなく、いとおしい日々。まだ名付けられていない人間関係を描き続けてきた著者真骨頂の連作小説集。

著者等紹介

絲山秋子[イトヤマアキコ]
1966年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。住宅設備機器メーカー勤務を経て、2003年「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞を受賞してデビュー。04年「袋小路の男」で川端康成文学賞、05年『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、「沖で待つ」で芥川賞、16年『薄情』で谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

bura

149
人間の営みを体験する神の物語を8篇の連作で描く。黒蟹県というとても地味で箱庭の様なフィールドの中で様々な人間達の人生が進んでいく。そこで一緒に過ごす人間になった神の様々な「気づき」がとても面白く豊かな世界を紡ぎ出している。作者の視点が正に神様の様に人間の突拍子もなく微笑ましい行いを愉しんで綴っているのだ。これが流石である。終章の「神と提灯行列」がとても愛おしく、心に残る読後感を与えてくれた。絲山文学の良作である。2024/01/08

ちょろこ

142
沁み込む一冊。すごく好みの世界観だった。舞台は架空の地、どこにでもあるような「黒蟹県」。この現実と架空の絶妙な交わりに深く考えずに身を委ねられた至福の時間。元から暮らす人、移住し新しく住まう人たちのなんてことはない姿を描いていくだけなのに、なんだろう、スッと沁み込んでいく感じがすごく好き。ふわっと舞い降りる神なる存在も神の視点もじわりと沁み込む数々の言葉もめちゃくちゃいい。これぞ人たるものの姿が絶品で何度も共感し、最後はたまらない愛おしさが溢れる感覚に陥ったほど。人間でいるのも悪くないよね、なんて思えた。2024/03/23

みっちゃん

140
地名は勿論、方言、植物、名産物まで作者の造形。架空の県、黒蟹県。でも、どこにでもありそうな処、そして住まいする人々も。力が抜けて可笑しみのある文章(特にP128還暦前後の男性の様々な喩えには申し訳ないけど、大笑い)から浮かび上がるのは、人生半ばを過ぎて、これまでの来し方への少しの後悔と諦め、でも生きとし生けるものへの穏やかで優しい眼差し。「いとおしき日々だった」ちょいちょい人間界に降り立ち、ひとと関わり触れあう妙に人間くさい神様がこれまた良い味を出している。2024/02/24

buchipanda3

119
あぁ日本のどこかに〜、ありそうな地方、黒蟹県の町々。そこの地元民たちの日々の姿とそれをそっと垣間見る神さまの目線が描かれた物語。架空の町だが、地元特有の昔からのこだわりのあるある感や、いかにも地元にいそうな人たちのいるいる感がいっぱいで思わずニガニガ、いやニヤニヤしっぱなしだった。そんな中、登場人物たちのある程度人生を経て内面から湧き出た言葉に沁み沁みと。町の人々の姿に神さまは言う、人類はなんと愛らしく、そしていじましいのだろうと。あれ、いじらしいじゃないのか。あと何気に食べるシーンが多くてお腹が空いた。2024/01/05

なゆ

114
架空の黒蟹県という地味な県、そこで生まれ育った人、転勤してきた人、仕事で訪れる人、そして何かと人の姿で現れては人間に興味津々な神。なんてことない暮らしの風景だけど、同じ姓が多すぎてややこしいアルアルとか、近隣の市町村とのしょーもない火花アルアルとか、ありがちなことがいっぱいで楽しい。いやとにかく絲山さんの描く半知半能の神が好きすぎて。生まれて初めて手にしたお弁当に歓喜する神とか、妻である者との生活とか、面白すぎて。私の周りにいる誰かが神の化身だったりして〜。ああ絲山さん、また神の降臨よろしくお願いします。2023/12/29

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