出版社内容情報
明治大正時代の女性でたどる日本近代史。
「女道楽」勝海舟の妻・民子、皇統を繋いだ柳原愛子、日満一体の象徴とされた愛新覚羅浩、勤王の志士になりたかった高場乱、「EUの父」を生んだクーデンホーフ光子……時代に翻弄されながらも運命を切り拓いた女たちの歴史人物伝。
内容説明
大山捨松、高場乱、富貴楼のお倉、柳原愛子、出口なお、金子文子、長谷川時雨…“女”でたどる日本の近代。学ぶべきは女の歴史!
目次
第1章 政治を支えた女たち
第2章 運命を切り拓いた女たち
第3章 天皇家に仕えた女たち
第4章 社会に物申した女たち
第5章 才能を発露した女たち
第6章 世界に飛躍した女たち
著者等紹介
石井妙子[イシイタエコ]
1969年神奈川県茅ケ崎市生まれ。白百合女子大学国文科卒業。同大学院修士課程修了。2021年、『女帝小池百合子』(文藝春秋)で第52回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。著書に『原節子の真実』(新潮社/第15回新潮ドキュメント賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
112
甲斐荘楠音画伯の「女人像」の表紙が印象的。著者が切望したと言う。聖女にも遊女にも見える複雑な表情の中に女性の情念が迸っている。幕末以降の37人の女性の生き様が紹介される。明治の元勲を支えた妻や愛妾たち、柳原愛子・九条節子など天皇を巡る女性たち、社会に訴える岸田俊子や管野須賀子、日中対立の犠牲となる愛新覚羅浩や川島芳子など。歴史の中で彼女たちに下されてきた「賢夫人」とか「妖婦」などという評価は、男性社会からの身勝手な価値観でしかない。男尊女卑の時代を生きた女性の強かさや哀しさを、著者は掬い取ろうとしている。2023/08/27
Roko
33
歴史の教科書に登場するのは男性ばかりなのは何故か?って考えたことがありますか?大河ドラマの主人公だってほとんどが男性ばかり。現代においても政治家だって、企業の社長だって男ばかり。人口の半分は女なのにどうしてそうなってしまうのでしょうか?この本で紹介されている女性たちは実に有能な人達ばかりです。酒浸りで働かない夫に代わって家を守ってきた人もいれば、国策で海外へ嫁いだ人もいます。様々な運命を背負って生きてきた女たちが大勢いるのです。この本の表紙の絵(女人像)を描いた甲斐荘楠音もまた、マイノリティの人でした。2023/09/18
kawa
32
凄まじい男性中心社会であった幕末から昭和あたりまでの歴史に割って入って苦闘した女性37名のショート列伝。どの方も凄い人生で、一人一人を取上げて小説やノンフィクションとして読みたい人ばかり。1章・政治を支えた、2章・運命を切り拓いた、3章・天皇家に仕えた、4章・社会に物申した、5章・才能を発露した、6章・世界に飛躍したの章立て。個人的には3章がとりわけ興味深い。1章は直前読了の「総理の女」のアンサー・ヴァージョンの趣き。「人見絹枝」さんの生没年「1861-1944」は「1907-1931」が正しい。2023/08/15
newman
12
痛快な本でした。苦難と哀しみの中でも自分の人生を生きた女性の列伝でした。特に清朝最後の皇帝そして満州国の皇帝となった溥儀の弟の溥傑と結婚した愛新覚羅浩(ヒロ)の波乱に富んだ生涯には心打たれた。ソ連軍に捕縛されその後中国の戦犯収容所にいた溥傑、苦難の末日本に逃れた浩。二人の長女慧生は父の消息を知りたいと周恩来首相に手紙を書き、感動した首相により二人の文通が可能となりその後北京で一緒に暮らせるようになる。その間に長女慧生は無理心中に巻き込まれて亡くなってしまう。 列伝の女性は、皆2023/10/14
どら猫さとっち
8
明治から昭和にかけて、男尊女卑の社会のなかで、自ら運命の扉を開き、人生を切り拓いた女性たち。小説やテレビで知った人から、まったく知らなかった人まで、バラエティに富んだ顔ぶれである。本書は会員制の雑誌「選択」で、今も連載されているものを本書でまとめたものだが、他の人の人生も書籍化して欲しい。美しく儚いだけじゃない、孤独でタフで、才知に富み、運命を見つめて生きていく。その姿には、今も変わらない人生の真理が見えてくる。2023/09/25