出版社内容情報
「何がみんなにとっての正義なんだろう?」
2022年12月、中森明菜は公式HPでファンに問いかけた。
そして、こう続けた。
「自分で答えを出すことに覚悟が必要でしたが、私はこの道を選びました」
表舞台から姿を消して5年あまり。彼女の歌手人生は、デビューした1980年代を第1幕とすれば、混迷の第2幕を経て、これから第3幕を迎えようとしている。
「お金をね、持っていかれるのはいいんです。でも一緒に心を持っていかれるのが耐えられないの」
1990年代に入り新事務所を立ち上げてレーベルも移籍した頃、雑誌のインタビューで打ち明けていた。
孤高にして寂しい――。
不朽の名曲「難破船」を提供した加藤登紀子は、明菜をそう表現した。
自らの道を進もうとするほどに孤独になっていく「歌姫」の肖像。
内容説明
デビュー四十周年で新事務所を立ち上げたが、未だに姿を見せないのはなぜか。八〇年代をリードした稀代のアーティストの実像を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
68
どちらかと言えば、松田聖子ファンでしたが、手元には数枚のCDとLPレコードがあります。時代を作った一人だと思っています。それが証拠に、伝説のコンサートは、今見てもも震えるほどの興奮でした。松田聖子さんや小泉今日子が現在も活躍されている中で、彼女だけが芸能界の負の煽りを喰らってしまったように感じました。昨年あたりから復活へ向けての動きがあり注目していたところに、ジャニーズ問題が明らかになったことと林哲司さんの記念アルバムに新たなレコーディングで参加され、漸く復活かと期待が膨らみます。2023/11/19
竹園和明
49
中森明菜はシンガーとしてパフォーマンスまで含めたセルフプロデュースの道に自ら進んだアーティストだ。商品として売りたい意向の事務所やレコード会社と方向性にズレが生じたのは必然としても、自殺未遂騒動や家族との離縁、周辺の人々との軋轢等で傷口がどんどん広がり、結局孤立無援になってしまった事は残念でならない。彼女を利用し金儲けを企む者が現れ、所属事務所も次々変わる。その結果信じられる人がいなくなってしまったとは何とも気の毒。芸能界という特殊な世界の中で、今後彼女はどう動く?。本当の勝負はこれから。復活を強く望む。2023/12/01
Take@磨穿鉄靴
39
なんだか切なくなる。何故こんな事になってしまったのか。表現者として特化した結果、表現する場そのものを失ってしまった皮肉。セルフプロデュースするにしてもそれは舞台の上の表現に関することだけで後はきちんとマネジメントしてもらわないとと大きなお世話ながら今更思う。個人的にはミ・アモーレは大好きだし1番好きなのは水に挿した花。あの感じ、世界を歌えるのは中森明菜しかいないと思う。ただこの本に関しては著者は肝心の本人に取材をしておらず何とも言えない感じ。今日あたり明菜ちゃん聞いてみるつもり★★★☆☆2023/09/01
かず
34
★★★★Audible。中森明菜世代ではないが、非常に興味深く読了。2023/10/26
メルコ
14
2023年までの中森明菜の足跡を辿った一編。幼い頃の家庭内での様子、デビューしてから人気絶頂になり、次第に人間関係のトラブルに巻き込まれていく様が語られる。リアルタイムで中森明菜を追っていたわけではないが、その才能とカリスマ性に魅力されていた。現在でも活躍する場があればいいのにと切に願わずにいられない。2024/07/08