出版社内容情報
占領軍に骨抜きにされた焦土で戦地帰りの男たちが立ち上がる。終戦直後と高度成長期の「2つの東京」を描くエンタテインメント作品。
内容説明
高度成長期に頭角を現し“今太閤”と呼ばれる政治家・千石宗平。高等小学校卒で叩き上げの彼を第一秘書として支える元警視庁刑事・神野晋作。2人は歴史から葬り去られた“ある過去”を共有していた。原爆で家族を失った元特攻隊員・来栖龍二、悲劇のレイテ島から生還した天才狙撃手・黒木斗吾とともに計画された皇居前某重大事件の全貌、そして彼らが狙う“ターゲットC”とは―。終戦直後と高度成長期の「2つの東京」を舞台に、男たちが挑んだ「日本復活計画」を描き出す。
著者等紹介
永瀬隼介[ナガセシュンスケ]
1960年鹿児島県生まれ。週刊誌記者を経て91年独立。フリーのジャーナリストとして主に犯罪ノンフィクションを手がける。その後、劇画『ゴルゴ13』の原作脚本も多数担当した。2000年、初の小説『サイレント・ボーダー』を発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ナミのママ
52
終戦直後の混乱・占領下時代「TOKYO」と東京オリンピック開催を目前にした「東京」の章が交互に書かれてストーリーは進む。中心にいる2人。千石宗平は山形の高等小学校卒業から政治家の道を駆け上がる。もう1人の神野晋作は刑事から千石の秘書となる。どちらの章も重厚で2編を読んだように感じる。黒を黒と言えない時代、長いものに巻かれていく人々。カネの力は今より強く、それにも増して生きることへの貪欲さが熱い。この2人の生きざまを滑稽とか悪とは思えない自分がいる。2022/06/18
きあら
20
戦争に負けアメリカに占領された日本。アメリカに媚びを売り肥え太る政府の高官たち。そんな腑抜けた国を根本から変えようとした千石と秘書として支えた神野。戦後の混乱期と高度経済成長期を駆け抜けた二人の闘い。高等小学校しか出ていない千石が総理にまで駆け抜けるためには金に頼るしかなかったが、結局は金に呑み込まれてしまう。金満政治と言われてしまうが、彼らには確かに矜持があった。2022/06/06
ララ♂
11
読了2022/07/28
kuma
8
永瀬さんらしい小説2022/07/26
Nobu A
6
永瀬隼介著書22冊目。22年刊行。図書館本。正直一言で言えば壮大。明らかに田中角栄を模した史実フィクション入り乱れた昭和の一時代を舞台にした話。どうも焦点が定まらず、熟読玩味には程遠かった。加えて「千石大臣、サイコーっ、ですよ(p. 206)」は時代を反映した表現なのか疑問。題材としては面白い素材かもしれないが、史実として記すなり、小説ならエンタメ性を高め、もう少し命題を絞った方が良かったのではと個人的には思う。何でもかんでも取り込んで纏まりに欠けた感が否めない。残念ながら後半流し読み読了。2023/08/12