出版社内容情報
小舞六万石が大火に見舞われた。山河豊かで災害も少ない土地で、城下の半分に迫る町が焼け落ちたことで、人々は混乱に陥った。
筆頭家老の後嗣である樫井透馬は、執政会議で一刻も早く救済策を講じることを主張するが、前例主義に凝り固まった藩の上層部は有効な策を講じることができない。
苛立ちが募る透馬は、少年の頃から剣を通じて身分を超えた友情をはぐくみ、今は側近として取り立てている新里正近、山坂半四郎と共に人々の救済に乗り出す。
一方で透馬たちが独自に動くうち、この大火事がただの失火ではないのではないか、という疑いが芽生える。
さらに藩政の主導権を巡る政争も巻き起こり……。
少年剣士たちの友情と成長を描く青春時代小説第三弾。
内容説明
大火に見舞われた小舞藩城下町。単なる失火と思われていたが、調べが進むうちに藩内の権力争いの影も見え隠れし…若き武士たちの青春譜!
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年岡山県生まれ。青山学院大学文学部卒業。小学校講師を経て、1991年作家デビュー。『バッテリー』で野間児童文芸賞、『バッテリー2』で日本児童文学者協会賞、『バッテリー』シリーズで小学館児童出版文化賞、『たまゆら』で島清恋愛文学賞を受賞。児童文学からヤングアダルト、一般小説でもミステリー、SF、時代小説などジャンルを超えて活躍する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
179
若いというのはなんと眩しい。彼らの真っ直ぐな眼差しは清々しく、とうに忘れた自分の中の熱をほろ苦く思い出すような感じにさせられる。黒幕の正体には驚くが赦せるはずもない。付け火という大罪で数多の命を喪った小舞藩。透馬と正近に半四郎・・道は遥かでもこれからは、彼ら若い力が真っ当な政をもって立ち直して行くに違いない。あさのさんの真骨頂、ごとくシリーズ第3弾。今回もまた活き活きとした物語に浸って読了した。2021/10/29
真理そら
55
『~ごとく』シリーズ3作目。3人組はすっかり大人になって林弥はすでに結婚離婚を経験しているという思いがけない設定。登場人物はほとんど変化がなく、3人の成長を楽しむ物語。のはずだが3人のうち2名が幼過ぎる気がして藩の政治をめぐる暗闘部分とのバランスがやや悪い気がしないでもない。2022/07/03
Nyah
51
「火群のごとく」「飛雲のごとく」の続き。「ごとく」シリーズ?。久しぶりなので、また誰だったか思い出しながら読む。/小舞六万石が大火により城下半分焼失。筆頭家老の後嗣樫井透馬は、執政会議の方針が決まらず苛立ちが募る。透馬は、側近の新里正近、山坂半四郎と共に人々の救済に乗り出す。 そして焼け出された怪我人の中に付け火を目撃したものが現れる。/透馬の意向で主従の関係が友人。青年3人が良い感じ。/正近の義姉七緒=恵心尼=生田清十郎の妹、千代= 生田清十郎の娘、新里結之丞を討ったのが清十郎で清十郎を討ったのが正近。2022/03/20
がらくたどん
40
「青春時代小説」(と勝手に呼んでいる)の旗手による小舞藩シリーズ第3弾。「火群」から始まる少年武士達の群像劇は身分と大人の箍を知り「飛雲」でそれを脱し光を求めて傷つきながらも進む姿が描かれて。そして本作、彼らは藩の政を担う「オトナ」の立場になった。背負った「役目」を生身の「自分」に手繰り寄せデコボコ3人組(三人になってしまったんだな・・と思うとやるせない)がお互いの機転と誠実さと実務能力を持ち寄って、藩内を焦土と化した大火の謎を追う。人の闇は沈殿すると怖い。相変わらず「ざっぴん」の煮つけがおいしそうだ。2022/01/22
ぽろん
40
弥勒シリーズといい、このシリーズといい、作者は、なんと鋭い刃を主人公達に仕向けて来る事か。合間の和みある会話が微笑ましいだけに、より一層彼らの身の上が哀しい。いつもながら、上手いなあと感嘆しつつ、読了。2021/11/27