出版社内容情報
怖いものほど見たくなる、駄目なものほど癖になる。
日常の輪郭がゆがんでとろける、奇「快」な人間植物園。
折口山に暮らすのは、どうしようもない人達ばかり。
・セックスの回数を記録する愛人
・徘徊癖のある妻を介護する老人
・アパートのドアが開きっぱなしの裸男
・朝どうしても起きられなくなってしまった女
・困った人の面倒を見たがる聖職者
町はずれの植物園に、彼らは、吸い寄せられるようにやってくる。
装画:Alefes Silva
内容説明
折口山に暮らすのは…セックスの回数を記録する愛人、徘徊癖のある妻を介護する老人、アパートのドアが開きっぱなしの裸男、朝どうしても起きられなくなってしまった女、困った人の面倒を見たがる聖職者。町はずれの植物園に、彼らは吸い寄せられるようにやってくる。
著者等紹介
吉村萬壱[ヨシムラマンイチ]
1961年、愛媛県松山市生まれ、大阪で育つ。京都教育大学卒業後、東京、大阪の高校、支援学校教諭を経て専業作家に。2001年「クチュクチュバーン」で第92回文學界新人賞を受賞しデビュー。2003年「ハリガネムシ」で第129回芥川賞受賞。2016年『臣女』で第22回島清恋愛文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっちゃん
140
私の理解を遥かに越えた生態の人たち。でも、その不気味で愚かしい拘りには、哀しみやら怒りやら、ひとの業がみっしりと詰めこまれているようで。彼らが廃植物園に大集合して織り成す最終話の標題作、激情と狂乱のるつぼの先に突如現れた「私」の正体。な、何と⁉️しばし絶句。読み終えてまたこの装画を見直すと、何とも云えない思いに囚われる。2022/03/14
よつば🍀
77
「苦悩プレイ」「美しい二人」「堆肥男」「絶起女と精神病苑エッキス」「カカリュードの泥溜り」「死者にこそふさわしいその場所」6話収録の短編集。6話共に物語の舞台は折口山、駅前にあるスーパーマーケット「おりぐっちん」界隈で暮らすどうしようもない人々の日常が描かれる。シュールな装丁に負けず劣らず、登場人物は皆、奇妙で独特。身近には絶対いなさそうでリアリティは皆無。でも何故か読み進むに連れ、ひょっとして、これって有り得るかもと思えて来るから不思議。淡々と描かれる日常は、奇快な中に切なさとおかしみと愛が満ちている。2021/09/09
いたろう
73
表題作他、全6編の連作短編集。著者の以前の作品のように、明らかに異形のものは出てこないが、苦悩プレイ、堆肥男、絶起女、カカリュードの泥溜り、キラスタ教など、その言語感覚は、やはり著者らしい。それは、狂気の世界のようでいて、歪な現実のカリカチュア。それぞれの話は、この小説世界の中で、唯一の正常な現実世界、駅前のスーパー「おりぐっちん」で繋がり、そして、それぞれの短編の登場人物が一堂に会するラストの表題作で大団円を迎える。そこに初めて登場したと思われた「私」が、実は、全ての短編に登場していたことに驚かされる。2021/10/14
さっこ
65
吉村さん初読み。非常に疲れた。すごい世界観でついていくのがやっとだった。日常が歪んで奇怪な人々…。思考が追い付かなかった。2022/04/24
日の丸タック
49
う〜ん…またやってしまった。 なんだか読むては止まらないのだが、理解が追いつかない… 芥川賞作家に溺れた。2022/01/30