出版社内容情報
計画倒産を企む先代に借金を背負わされた若き大名。御家と故郷を守ろうと必死に足掻く健気な姿に、人だけでなく七福神も手助けを!?
内容説明
泰平の世に積もりに積もった大借金に嫌気のさした先代は縁の薄い末息子に腹を切らせて御家幕引きを謀る。そうとは知らぬ若殿に次々と難題が降りかかる!笑いと涙の経済エンターテインメント、始まり、始まり―
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951年、東京都生まれ。95年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞受賞。97年『鉄道員』で直木賞受賞。2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞受賞。06年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞、司馬遼太郎賞を受賞。08年『中原の虹』で吉川英治文学賞受賞。10年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞受賞。15年、紫綬褒章受章。16年『帰郷』で大佛次郎賞受賞。19年、菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
304
浅田 次郎は、新作をコンスタントに読み続けている作家です。著者の得意なジャンルなので、上巻一気読みです。続いて下巻へ。トータルの感想は下巻読了後に。 https://books.bunshun.jp/articles/-/5195 https://books.bunshun.jp/articles/-/5160 2019/12/28
やま
186
物語は、大政奉還(1867年)の五年前の文久二年(1862年)。舞台は、江戸。字の大きさは…小(字が薄い)。悪辣な先代藩主は、藩をこれ以上持ちこたえられぬと思い、藩の計画倒産を企てる。その話を長男に話すと、あまりのことで病弱な体に刺激が強く急死してしまいます。そこで、捨てていた妾腹の四男・小四郎を当主にして、最後は、責任を取らして切腹させて終わりにする事を計画します。お隠居様(先代藩主)が、計画倒産を企てていることを全く知らない、糞真面目な小四郎21才は、長男の急死で急遽、🌿続く→2021/05/21
パトラッシュ
176
うまい時代小説を書かせたら右に出る者はいない点で、浅田次郎は山本周五郎の後継者だと思う。何よりもテンポのいい語り口で読者を物語へ引き込む手腕は見事だ。ただ、周五郎があくまでも善悪共に真面目な人間像を描くのに対し、浅田はコミックリリーフを遠慮なく投入してくる。同じ大名家のお家再興がテーマながら、長年月をかけて一歩ずつ理想実現のため苦闘する家老を描く『ながい坂』とは正反対に、本書は貧乏神や七福神まで走り回って大騒ぎを展開する。その点を気に入らない読者もいるだろうが、実にもったいない話ではないか。(下巻に続く)2020/01/10
Galilei
175
秒読みの破綻。登場するのは大店から、鴻池、三井、現在ならメガバンク。大黒屋は大手商社、仙藤はコンツェルン。主人公和泉守は、幕府から領地を借り受けて農業と政治を担う或る種の第三セクターかも?第三セクターなら、殆どが債務超過で経営破綻だろう。△先代が手練手管の計画倒産を企てる中、和泉守の巨額負債への苦悩は自身でも計り知れない。とはいえ、庶民出身の目線と持ち前の品性ある思慮深さにより、情報開示と大胆な藩の構造改革、さらに新事業の開発。1千兆円を超す負債の日本が求める若いリーダー像を、作者は訴えたようだ。2020/10/12
修一朗
153
年一万両歳入,借金二十五万両,利子年三万両ってたまげた破綻藩だっ,と思ったら幕末の大名はこんな感じばっかりだったそう。名高い薩摩藩調所広郷の500百万両250年分割払いは史実だし越後丹生山藩計画倒産改易狙いってのもいかにもありそうだ。真面目が取り柄の若き殿様の痛快財政再建劇,江戸末期に積み重なった繁文縟礼の数々だったり,井戸水を売るだけで商売になっただとか,江戸文化蘊蓄たっぷり。面白い!下巻では七福神が大活躍に違いない。下巻へ!2020/04/09