出版社内容情報
新婚早々見合い結婚した夫を亡くし、悲劇の未亡人というレッテルを貼られたイオリ。悲しむこともできず、夫の遺骨と暮らし始めるが。
内容説明
見合い結婚したばかりの夫・ユウジを亡くしたイオリ。はんぶんに分けられた遺骨と暮らし始めるが…。絶妙な毒とユーモアで贈る、初の小説集。
著者等紹介
壇蜜[ダンミツ]
1980年秋田県生まれ。東京都出身。昭和女子大学卒業後、調理師免許を取得、また冠婚葬祭の専門学校にも通う。和菓子工場、銀座のクラブホステスなど様々な職業を経験した後、2010年に二九歳のグラビアアイドルとしてデビュー。独特の存在感で瞬く間にメディアに注目される。13年映画「甘い鞭」に出演し、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。『はんぶんのユウジと』が初めての小説集となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
218
壇蜜は、新作をコンスタントに読んでいる作家?です。著者の処女小説集、連作短編集でした。エッセイから小説になっても、文才を感じます。オススメは、表題作『はんぶんのユウジと』です。著者は最近結婚したので、ハッピーで自虐的じゃなくなりますでしょうか?2019/12/04
sayuri
110
「はんぶんのユウジと」「タクミハラハラ」「パットエミデテテレルフターリ」「にびいろ八分咲き」「スカイコート101号室」5話収録の短編集で、登場人物が各話リンクしている。壇蜜さん初の小説集は、文章も読みやすく、ふんわりとした浮遊感感じる味わいで心地よく読めた。主人公は見合い結婚したばかりの夫を亡くし、はんぶんに分けられた遺骨と共に暮らすイオリ。このイオリのどこか俯瞰的で無気力な言動が面白い。悲壮感とは掛け離れオカシミさえ感じ時々噴き出しそうになる。自分の身近に存在していそうな人達のありそうでなさそうな物語。2019/11/26
ダミアン4号
83
ただ何となく日常を過していたイオリは親の勧める見合いで知った男性と結婚する。その数ヶ月後、突然夫が亡くなり…夫を亡くしたというショックは感じているのに悲しいという感情はどこか他人事の様…そんな自分は変なのか?と訝しがりながら鬱々とした日々を過していると夫の実家から分骨の話を持ちかけられ…彼女を巡る4つの連作短編。出会って愛し合って結ばれて…その感情が充分に育まれないうちの別離…なんとなく判る…それでも世間的な目を気にしなきゃならなくてそういうポーズをする…主人公の複雑な胸中…行動と感情のギャップが痛々しい2020/04/21
ぶんこ
62
自分の意思がないようなイオリさんが、親のすすめるお見合いで結婚し、わずか3ヶ月で夫が突然死。分骨された遺骨を、食べ物が入っていた容器に移し替える場面には仰天。枕元に置いて寝るところは、やっぱり夫婦だったのだと思わせる。夫のひとまわり歳の離れた弟の大学生活と、友人と元カノの話の後に、イオリさんが義弟に会いに行くとなって、またも仰天。そして最後の章でもっと仰天。義弟とイオリさんがお付き合いしていました。壇蜜さんが書くと、こういった話もサラッと流れる様に感じられるから不思議。2021/03/28
野のこ
59
イオリさんを壇蜜さんにイメージしながら読みました。ざわざわと不穏な空気もあったけど、緩やかなスピード感やぬるい温度が心地よく、ユーモアのある文体が面白かったです。最後は毒っ気が。はじめは装丁の壺が気になってたけど、読み終わって食虫植物が印象に残りました。2020/04/04