出版社内容情報
警視庁捜査一課の吉敷竹史は美術展で一枚の日本画に惹きつけられた。赤子を背負って戦う不思議な美剣士「盲剣さま」の伝説が始まる。
内容説明
江戸時代から続く金沢の芸者置屋・盲剣楼で、終戦直後の昭和二十年九月に血腥い大量斬殺事件が発生した。軍人くずれの無頼の徒が楼を襲撃、出入り口も窓も封鎖されて密室状態となった中で乱暴狼藉の限りを尽くす五人の男たちを、一瞬にして斬り殺した謎の美剣士。それは盲剣楼の庭先の祠に祀られた伝説の剣客“盲剣さま”だったのか?七十余年を経て起きた誘拐事件をきっかけに、驚くべき真相が明かされる!?
著者等紹介
島田荘司[シマダソウジ]
1948年、広島県生まれ。武蔵野美術大学卒業。1981年に『占星術殺人事件』でデビュー。本格ミステリの旗手となる。また、「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や、台湾・皇冠文化出版有限公司が主催する中国語によるミステリ新人賞「島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、後進の育成にも尽力している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
179
島田 荘司は、新作中心に読んでいる作家です。吉敷竹史シリーズは、初読です。二段組み、525頁のため、一瞬たじろぎましたが、難なく一気読みしました。本書は、美剣豪冒険活劇ファンタジークロニクル、刑事モノの雰囲気は、ほとんどありません。山縣 鮎之進 見参!!! 【読メエロ部】2019/11/04
雪風のねこ@(=´ω`=)
106
実は初読。よって著者の癖もシリーズの特徴も判らず書店で試読。時代背景や設定が面白そうだと感じて購読。警察モノでもミステリでもなく殉愛の物語なのだなと思った。芸も剣術も金も手段であって、それを使って成すべき目的が須らく存在する。その目的を違えると大変な目に合うということも描いている。目先の道楽に踊らされることなく己が生命を賭して大切なものを護る。鮎之進があの息子に出会っていなければ、鮎之進自身は変わらなかったのだと思う。2019/12/03
勇波
49
久々の吉敷さん。通子さんと仲良くしてらっしゃるようで何よりです(笑)御手洗物とは違う形で心に残る作品が多いこのシリーズ。本作もその一つ。『奇想、天を動かす』のように強い物語はトリックなど二の次でいいのですって思わせてくれます★2019/12/27
天の川
45
御手洗シリーズに途中でついていけなくなって、島田さんの本に手が出なくなって長い…。20年ぶりの吉敷シリーズが出たと聞いて読みました!で、もうビックリ。吉敷刑事の話は最初と最後だけ。ほとんど剣豪小説だった。で、どんな関係があるのだろうと最後まで頑張って読んだら、関係なかったという(笑)。剣豪小説の方は読みようによっては妙な面白さがありましたが…ちょっと時代がかっていて(って時代劇だし)。おまけに吉敷刑事の行動も???私は感想書くのに困りました…。2019/10/15
ぱなお
43
525ページの上に上下二段のボリューム!さすがは島田御大です。御手洗シリーズが好きだったので、吉敷刑事シリーズはあまり読んではこなかったけど、果たしてこの作品は吉敷である必要があったのか?現代の誘拐事件と昔の記憶、江戸時代から続く盲剣様の言い伝え。そして話は戦後から江戸時代へ。殆どがその伝承の物語となっていたのにビックリ!謎を解く鍵となる時代や場所を軽く飛び越えていくあたりが島田作品らしい!長く文字量も多いけど、グイグイ読める。現代に繋がる真相の解明もキテレツ具合がやっぱり島田作品らしい。2020/02/27