出版社内容情報
公演直前に失踪を遂げた若きダンサー。鍵を握るのはカリスマ演出家と因縁の弟。芸術の神に魅入られた美しき男達の許されざる罪とは。
内容説明
ダンサーと、画家の兄弟。答えのない世界でもがく孤独な魂は、いつしか狂気を呼び込み、破裂する。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ウッディ
333
カリスマ芸術監督誉田が率いるバレエ団、主役に抜擢された誠は、稽古で徹底的にいじめ抜かれ、「舞台に出られなくなった」という言葉を残し、公演二日前に連絡が取れなくなる。代役オーデションで選ばれたのは、誠とルームシェアする尾上だった。「カインとアベル」という兄弟憎悪をテーマにした舞台をモチーフに誠と弟豪の物語が進む。役者に妥協を許さず、追い込む誉田の言動は、指導か、パワハラか?代役が果たした本当の役割を知った時、芸術家は舞台を成功させるためにここまでするのかと驚き、知らなかった世界を垣間見た気がしました。2020/02/10
Yunemo
307
状況設定が理解出来ないままに最後まで。殺人というミステリー性が余りにも唐突過ぎて。バレエと絵画、兄弟、翻弄される女性達、それぞれの立場での心情が読み取れなかったのかな。全体を通して重苦しい雰囲気に飲まれた感。本作が貫いているのは芸術性の追求、と想われたものが殺人という範疇で、何となくの唐突感についていけないところもあって。知らないバレエの描写が繊細であったのもひとつの原因かも、なんてことを一人想い。でも著者独特の表現「動きの語彙力」、バレエを知らない自身に、この言葉が理解の一助となり、この世界観に嵌って。2019/09/16
しんたろー
301
狂気に支配された重苦しさで読んでいて辛い…カリスマ芸術監督・誉田に翻弄されるダンサー・誠、誠の彼女・あゆ子、誠の弟・豪、豪の彼女・有美、誠のダンサー仲間・和馬、誉田に追い込まれ死んだ娘の父・松浦、6人のギリギリの心情が濃厚に描かれているからだ。芸術の世界に身を置く者たちの焦燥感と愛する者に届かない悲哀がヒリヒリと伝わってくる。何より、冷徹で厳しい誉田が恐ろしく、映画『セッション』の鬼教官JKシモンズの顔が浮かんだ。終盤の展開に圧倒されたし、群像劇としても好きだが、犯人の心情をもう少し描き込んで欲しかった。2019/11/08
うっちー
287
プロットが巧み。バレエも分からず、動機もわかりずらいが、面白かった2019/10/08
fwhd8325
247
前半は面白く読み進めていましたが、後半になるに従って魅力が薄れてしまったように感じました。読んでいて思い出していたのが、映画「Wの悲劇」です。劇中劇の醍醐味というのでしょうか、この物語に共通した面が多いと感じました。2019/11/10