出版社内容情報
バスに乗って迷い込んだ異世界の人々は奇妙な災害に苦しんでいた。世界を救うため、男は三〇センチのものさしを手に立ち上がる。僕が迷い込んだのは、「大地の秩序」が乱れた世界――
三崎亜記のすべてが詰まった傑作ファンタジー!
故郷に帰るバスに乗ったユーリが迷い込んだのは、
遠近の概念が狂った世界だった。
ここでは、目の前に見えるものがそばにあるとは限らず、
屋外に出ればたちまち道に迷ってしまう。
街の人々に教えられ、ユーリはこの世界のことを少しずつ知っていく。
私生活のすべてを犠牲にして、この世界の道筋を記憶する女性「ネハリ」。
不死の「渡来人」。砂漠の先にある「分断線」。
人間と決別し、野生に戻った本たちと「本を統べる者」。
そして、通り過ぎる街の人々を連れ去っていく「鼓笛隊」。
全滅の危機に瀕した街のために、ユーリは立ち上がる。
この世界にあるはずのない「30センチのものさし」を持って。
三崎 亜記[ミサキ アキ]
著・文・その他
内容説明
30センチのものさし。それを持った人間がこの世界では救世主となる。遠い記憶のなかの約束に導かれ、迷い込んできた僕の役割とは?
著者等紹介
三崎亜記[ミサキアキ]
1970年福岡県生まれ。熊本大学文学部史学科卒業。2004年「となり町戦争」で第17回小説すばる新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
142
図書館で働く平凡な主人公悠里。実家に行くはずがたどり着いた先は、砂に覆われ大地の秩序が乱れた世界だった。本が生き物で空を飛び、すぐそばにいるのに手が届かない(距離感がぐちゃぐちゃ)…想像力を働かせても固くなった頭ではなかなかイメージしづらい異世界だったが、なんとなくRPGゲームをしているような感覚でファンタジックな世界観を楽しめました。いや~壮大な冒険だった。面白かったけどちょっと疲れました。2021/09/27
モルク
133
おっ、いつもの三崎ワールドかと思ったけど、それをうわまわり時空を超えるファンタジー。図書館司書のユーリがバスに乗って迷い混んだのは大地の秩序を失った砂にまみれる世界だった。彼は渡来人の救世主として迎えられるが、彼と最初に接触したエナは次第に若くなっていく。なんかいろんな作品をついつい思い出してしまう。が、肩肘張らずに暫し三崎ワールドにひたる!2019/09/12
Akihiko @ VL
84
三崎亜記さん12冊目の読了。「ゼッタイに逢いに行く」それは約束の言葉。そして、1人で生きていくという決意の言葉。距離という概念が欠落した世界。僅か30センチ先にいる彼女に逢う事が奇跡の様に感じられる。もしこの世に距離を測る術が無いとして、あなたはどこに脚を踏み出し、どのくらい腕を差し伸ばし、いつ息を吐き出せばいいのか、感じとることはできますか。隣、側、近く、遠く。全て曖昧だと思った事はありませんか。愛する人と1ミリだって離れていたくないと思うのは、決して大袈裟な事ではなくて、極自然な感情なのかもしれない。2018/12/16
ばう
79
★★★★ 三崎亜記さんらしい普通とはちょっと違う世界の話かと思ったらちょっとどころか異世界にまで来てしまった。バスが到着した場所は大地の秩序が乱れてしまった世界だった。「統治者」の怒りを買い砂漠によって分断された町、野生に戻った本、全ての道筋を記憶する「ネハリ」の失踪、「渡来人」である僕と最初に出会ったエナに起こる変化、そして鼓笛隊の襲来から町を救う為旅に同行する僕。果たして町を救えるのか、僕は元の世界に戻れるのか、そしてエナはどうなる?ラストまで目が離せない面白さでずっと引き込まれたまま読了しました。2022/01/25
たいぱぱ
74
本当に久しぶりの三崎作品。初期の作品はほとんど読んだのですが、この世界に近すぎる不条理な世界観、そして無機質っぽい登場人物たちにどうも馴染めず、長年遠ざかってました。この作品の出だしで「これもか・・・」と思いましたが、気が付けばのめり込み、最後には泣きそうになってました。初期作品で唯一良いかもと思った「鼓笛隊の襲来」も登場するこの作品は、三崎作品では一番好きです。この本自体に仕掛けられた伏線もなかなか良い!!2019/01/07