出版社内容情報
明治十年代半ば。銀座煉瓦街で一人の馭者が何者かに狙撃され「青い眼の子」との言葉を遺し死んだ。この意味するものは何なのか?昨年、『明治乙女物語』で松本清張賞を受賞し、鮮烈なデビューを果たした著者渾身の本格歴史ミステリー!
明治維新前夜、妻、幼子とともに馬車に乗っていた英国商人が、関内で三人の侍に斬殺される事件がおきます。三人は「攘夷なり!」と叫んで逃走し、その行方は杳として知れませんでした。
それから17年後、銀座煉瓦街で鉄道馬車の馭者が、何者かに狙撃され死亡します。彼はこときれる前、「青い眼の子……」との言葉を遺しました。この意味するところは何なのか。「開化日報」の敏腕記者・片桐が幼い?相棒?直太郎と、事件の真相に迫ります――。
滝沢 志郎[タキザワ シロウ]
著・文・その他
内容説明
明治十六年、銀座の煉瓦街で、鉄道馬車の馭者が何者かに狙撃され、「青い眼の子…」との言葉を遺して逝った。この意味するところは何なのか?敏腕記者・片桐が幼い“相棒”と、事件の深淵に迫る―。
著者等紹介
滝沢志郎[タキザワシロウ]
1977(昭和52)年、島根県生まれ。東洋大学文学部史学科卒。テクニカルライターとして各種マニュアル制作に従事。2017(平成29)年、『明治乙女物語』が選考委員の圧倒的支持を受け、第24回松本清張賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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itica
61
明治16年に銀座で起きた鉄道馬車の馭者(ぎょしゃ)狙撃事件を発端にして、闇に閉ざされていた過去の事件を新聞記者と見習いが追い掛けるミステリー。事件は新宿でも、その根差すところは横浜である。外人居留地で起こった大政奉還前の殺人事件がどう絡んでくるのかが見どころ。歴史とミステリーの融合が古くて新しい混沌とした時代をを良く表現している。文明開化後の湧き立つような喧騒の東京と、異国情緒漂う横浜の空気が感じられるストーリーはなかなか面白い。 2018/10/14
真理そら
58
幕末の横浜関内で起きた3人の武士たちのふとしたはずみでの外国人殺害事件。明治初期の銀座煉瓦街で起きた鉄道馬車の馭者狙撃事件。この二つの事件が絡まっていくことを読者に予見させた後に登場する大山捨松(山川捨松)がとても魅力的。日本語がまだ不自由な上に会津弁なので「~ごぜえます」と本人とのギャップが笑える。緊迫した場面での「このままではあの二人はハンゴロシです」などもすっとぼけていて楽しい。『明治乙女物語』に登場した車夫・久蔵や藤田警部(補)が登場するのもうれしい。次作は直太郎中心でお願いしたい。2019/07/21
万葉語り
41
明治時代に実際あった馭者狙撃事件を下敷きに、新聞記者とお手伝いで男装の女の子が中心となって事件を解決していく。17年前の横浜でおこった外国人殺人事件の真相も絡め、明治の雰囲気が存分に味わえる作品でした。2018-2032018/11/15
信兵衛
25
明治の雰囲気を十分に味わい、それなりに楽しめました。2018/10/05
PAO
19
「日本語より英語が得意な日本のご婦人など三人しかいないでしょう」…と言われる咲子?をはじめ、片桐、直、藤田といった登場人物が生き生きと描かれ、また、謎解きというより時代背景や当時の銀座や横浜の様子が楽しめます。今日は明治改元150年で各地で式典が開かれているそうですが、緊縮財政で農村が困窮し土地を手放したり都市に人々が流入したという厳しい状況や会津の人たちの苦しみを登場人物の身の上と重ねて明治も明るくなかったことも触れています。この登場人物で次はイケメン車夫の久蔵を主人公にした続編が読んでみたいですね。2018/10/23