飼う人

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  • サイズ B6判/ページ数 358p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163907703
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

さまざまな生き物を飼いながら、人間たちはなぜ生きるのか?

この世界のリアルを、柳美里が描く。戦慄の連作小説集!



夫との生活に疲れた中年女は、家にいた毛虫に「トーマス」という名前をつけて飼うようになった。トーマスへの愛着が深まることで、なじんでいたはずの夫が、いままでとは違って見てくる。

夫の本心とは何か。夫の好きなものは何か。夫は何に関心があるのか。夫は何も関心を持っていないのか。わたしは夫の何に関心があるのか。何もないかもしれない。わたしは自分に対しても、関心を持つことができない。どうしてこんなことになってしまったんだろう。何がいけなかったんだろう。疲れた。ほんとうに疲れた……。

中年女のリアルな心情を細密に描く――「イボタガ」



ウーパールーパーに「アポロ」という名前をつけたコンビニで働く青年の話――「ウーパールーパー」



シングルマザーの母親との軋轢にもめげず、健気に生きていこうとする少年の話――「イエアメガエル」



「トーマスは羽化しませんでした」という謎のメッセージを残して、妻に去られた中年男の話――「ツマグロヒョウモン」。

内容説明

さまざまな生き物を飼いながら、人間たちはなぜ生きるのか?この世界のリアルを描く、戦慄の連作小説集!

著者等紹介

柳美里[ユウミリ]
1968年、神奈川県生まれ。高校中退後、劇団「東京キッドブラザース」を経て、1987年、演劇ユニット「青春五月党」を結成。1993年、「魚の祭」で第37回岸田國士戯曲賞を受賞。1996年、「フルハウス」で第18回野間文芸新人賞、第24回泉鏡花文学賞を受賞。1997年、「家族シネマ」で第116回芥川賞を受賞。1999年、「ゴールドラッシュ」で第3回木山捷平文学賞を受賞。2001年、「命」で第7回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

161
柳美里は、新作中心に読んでいる作家です。本書は、マニアック小動物(昆虫)飼育家族小説といった感じでした。オススメは、『イボタガ』と『ツマグロヒョウモン』です。連作短(中)編集ながら、著者の凄味を感じました。今年のBEST20候補の1作です。 2017/12/28

takaC

80
連作なのかよくわからなかったが、明らかに連作ではないと思われる中の二篇が面白かった。特にアポロの方。トーマスとなおみはイマイチ意味不明だった。2018/08/01

モルク

75
様々な生き物を飼う4編の短編集。1話目と4話目の話は繋がっていたと。飼われているものは全て特殊であり、ウーパールーパーやカエルはまだわかるが、蛾や蝶の幼虫を飼うというのは私の理解を超える。全体的にどんよりと暗い。生き物に対する愛情も今一つ感じらないが、その気だるい雰囲気に不思議とマッチしている。だが、彼らが生き物に求めているものはなんだろう。どんよりしている中にも惹き付けられるものがあった。2018/08/27

ちょき

61
イボダガの幼虫を飼う主婦、ウーパールーパーを飼うリストラされたフリーター、イエアメガエルを飼う母子家庭、そしてイボダガを飼っていた主婦に逃げられてツマグロヒョウモンを飼う元夫(連作)。そんな人達のなんともいえない人間模様と心模様。特に心理描写は芸術性が高し。ちなみに私も一話挿入できる、そう、わたしも飼う人だった。オオクワガタを幼虫成虫含め二百匹余り飼育していたが、大病で手術入院明けの妻に、人生やり直しにあたり願いは何かと問うたら「虫だけは止めて」と言われ一夜で全部処分した経験に涙無不語。実はまだ飼いたい。2018/11/24

うどん

57
すっごく細かいところがとても共感しました。なんかよかったです!2018/02/22

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