出版社内容情報
小料理屋の女主人百々子七九歳と若い頃から女が切れない奇妙な魅力をもった七つ年下の夫。半世紀連れ添った男を何故妻は殺したのか。
ママはいいわよべつに、刑務所に入ったって
小料理屋の女主人百々子七九歳と若い頃から女が切れない奇妙な魅力をもった七つ年下の夫。半世紀連れ添った男を何故妻は殺したのか。
内容説明
なぜ百々子(79)は夫(72)を殺したのか。或る家族の半世紀を描いた愛をめぐる8つの物語。
著者等紹介
井上荒野[イノウエアレノ]
1961年生まれ。1989年「わたしのヌレエフ」で第一回フェミナ賞を受賞しデビュー。2004年『潤一』で第十一回島清恋愛文学賞、08年『切羽へ』で第一三九回直木賞、11年『そこへ行くな』で第六回中央公論文芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
253
以前から気になっていた井上荒野、初読です。勝手に年下だと思っていたら、年上の作家でした。本作は連作短編集的長編小説です。冒頭の「ママがやった」から章毎に各家族が主人公となり最終章の「縦覧謝絶」に傾れ込んでいきます。本作の父親は著者の父親、井上光晴がモデルでしょうか?いずれにしても繁殖能力が強く、女性にもてるヒモのような父親がいると、家族に色々な影響を与えるのかも知れません。2016/02/02
夢追人009
186
直木賞作家・井上荒野さんの不幸な家族を描いた異色の連作長編小説。私は荒野と書いて「あれの」と読む事や本名である事や女性である事や御父上が文学作家の井上光晴さんである事も恥ずかしながらまるで存じ上げておりませんでした。79歳の妻が72歳の夫を突然に殺した理由は言葉で具体的には語られませんが、やはり長年の間に溜まって来た感情が一気に爆発したのでしょうか。この永遠の女たらしの男が全ての元凶で、生きるのが下手な二女一男の人生に影響し、妻は夫が永遠に繰り返すだろう大勢の女達への罪深い行いを止めたかったのでしょうね。2019/05/14
おくちゃん👶柳緑花紅
126
さすが井上荒野作品‼ママがやっちゃったのは。。。ある家庭の半世紀。どうしょうもない男なのに惚れてしまう女性って確かに居るんだよね。共感するとかしないとかを越えた作品。タイトルが巧い‼かなり古いけど火野正平さんってこんな感じの人なのかなぁって思いながら読了。パパが書いていた私小説?のなかの時子の紹介は痛々しい。2016/03/28
ネギっ子gen
121
帯に、<なぜ百々子(79)は夫(72)を殺したのか 或る家族の半世紀を描いた愛をめぐる8つの物語>とあるが、最後まで「なぜ」への回答は、明確に示されないまま。逆に<理由を知ってどうするの。理由がわかると何か事態が好転するわけ?>という反問まであったりする。「退屈」を晴らすために「出任せ」人生を送る「精神年齢」が「十歳くらいのガキ」である父親と暮らしてきた家族にとって、「やった理由」を考えることさえ、鬱陶しいことであろう。家族の関係性から、家族の一員それぞれ(温度差あり)が「出任せ」病に罹患したケースか。2019/11/21
美登利
95
一気に読み終えて、ひそめていた長い息をやっと吐いた気分。出だしから不穏なシーンで始まり、これで終わりなのか?と思っていると章が変わるごとに、家族それぞれの抱えた背景が語られて、それはとびっきり特別でも無いのだけど、妙にリアルで緊張感が漂っています。荒野さんの小説は料理が出てくるとどれも美味しそうで、この噛み合っているのかいないのか判断しづらい家族には、必要なシーンなのか?という疑問も湧くのですが、ママの作る料理がもしかしたら様々な狂気に走らせる原因なのかもしれないとふと思えるのです。そこが怖いです。2016/02/06
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