花晒し―北重人遺稿集

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 268p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163813004
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

女元締・右京が、江戸の街に起こる事件を鮮やかな手筋で仕切る。著者最後のシリーズほか単行本未収録の小説やエッセイを集めた1冊。

著者等紹介

北重人[キタシゲト]
1948年山形県酒田市生まれ。千葉大学工学部卒。1999年、「超高層に懸かる月と、骨と」で第三八回オール讀物推理小説新人賞を受賞。2004年「夏の椿」(原題「天明、彦十店始末」)が松本清張賞の最終候補となり、2007年「蒼火」で第九回大藪春彦賞を受賞。2009年8月26日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

じいじ

76
読書メーターの読み友さんに「この作家は、じいじさんの好みに合うと思いますよ」と言われて読み始めた北重人の三作目。1948年生まれですから私よりだいぶお若いです。残念ながら、若くして鬼籍に入られてしまった作家である。今作は「北重人遺稿集」と表題に書き添えてあるから、氏の最期の短篇集です。間近に迫ったご自分の「死」を悟られているのでは?、と思いました。既読の二作とは明らかに読み心地が違うからです。果たして北重人さんの著作は、あと何作あるのか分かりませんが、もっと読んでみたい。合掌2024/10/05

藤枝梅安

27
3つの連作短編は翁稲荷界隈を取り仕切る元締め・右京の物語。亡くなった夫の後を継いで元締めをしている。複雑な男女関係だが、誰もが互いを気遣いながら出しゃばらずにことを進める「阿吽の呼吸」を簡潔で瑞々しい文体で描いている。「花晒し」はタイトルから想像するよりもずっと厳しく鮮烈な物語である。2つの独立した短編も収録されている。滑稽な味の「稲荷繁盛記」には悲しい結末が待っているし、「恋の柳」も成就しない思いを抱いてそれでも前を向こうとする女性が描かれている。北さんが亡くなってから3年。少しずつ再読しようと思う。2012/06/24

としえ

16
亡夫の跡を継ぎ元締めとなった右京を主人公とする江戸の人情物語三話と、その他読み切り二話の短編集。著者初読みだがどれも面白く読めた。悲しい展開や酷い事件があっても、希望がもてる最後になっているのが良い。右京の話は特に好き。右京の、もめ事を収める際の気風の良さ、見回りの時に客が途切れた店を選んで声をかける気配り、傷ついた者へのいたわりなどもいいし、弥十郎とのゆったりと想いを寄せ合う関係もいい。『魅力的な登場人物に、ほんのり恋心もある市井の人情もの』こういう設定好きなのに、もう続きが読めないのが残念でならない。2015/10/23

キムチ

6
読むのが惜しく、つい積んでいた。ページを捲るのもちびちび。 最後の生を刻む時間での執筆だからか、いつも以上に、肩から力を抜いた市井を描いている。お馴染み右京が主役モノ3本と捻った女心を描く2本。 イネの逝き方は何やら北氏を思わせて・・ 千嘉の揺れ方は江戸の空気まで伝わるような情景が舞台。読後、しばらく手に取り身辺に薫る江戸の香りに浸った。 権勢モノ、生臭い血潮滾るモノもいいけど、秋のひんやりを楽しむにはこの方の筆に並ぶご仁は少なかろう。ご冥福を。2012/09/27

あかんべ

6
初めて読んだ作家さんなのに、もう新作が読めないなんて残念。さらさらときもちよく文がながれ気持ちいい。表題の「花晒し」の字面きれいなのだが、実際はボコボコにされた悪人どもが、花散る橋のそばで裸で晒されるというあまり見たくない絵。それさえも美しくしてしまうのが、北さんマジックなのか?他の作品も読んでみます。2012/06/07

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/4847047
  • ご注意事項

最近チェックした商品