出版社内容情報
伊語通訳として長年活躍する著者が殊更思い出深い男たち、女たちを描く6篇。盟友・米原万里さんを偲ぶ感涙必至の追悼随筆を収録。
内容説明
縁は伊なもの?イタリアで日本で、著者が出会った忘れえぬ男女―“シモネッタ”がとらえた人間劇場のユーモア&ペーソス!盟友・米原万里に捧げる感涙の追悼エッセイを収録。
目次
神々の、宴はかなきオリンポス
ローマの白い奴隷
ウタマロ・ミラネーゼ
花の下にて春死なん
専制君主ジョヴァンニ
はかなき露の字に代えて
あとがき 羊頭狗肉のシモネッタ
著者等紹介
田丸公美子[タマルクミコ]
イタリア語会議通訳、翻訳業。広島県生まれ。東京外国語大学イタリア語卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さなごん
25
男と女の話はとても濃厚でこれ一編で一冊の本になりそうな濃厚な話。最後のひとつは米原さんのこと。本人が書かなかった彼女の姿。最期はしんどそうで辛かった。2015/04/03
ドナルド@灯れ松明の火
16
田丸さんのエッセイ。実話だけにイタリアの男女の生き方がリアルにわかって興味深い。いつもの笑はなくしみじみと読んだ。最終話の米原真理さんの話には深く感動した。お薦め2015/02/21
豆ぽち
16
日本とイタリアを行ったり来たりと、まさにワールドワイドな田丸女史。まるで小説読んでいるような、私の凡庸な生活とはとはかけ離れた日々を記したエッセイ。ですが、そこで生きる人々は毎日の生活をコツコツと重ね、人生の幸せも苦悩も全身で受け止めながら生きている。未だ見ぬ遠いミラノやフィレンツェの街も華やかな小説の舞台なんかじゃなく、地味で雑多な人間が暮らす生活の場所。どこで生まれてどこで生きていくのも、そこには人間の哀愁が漂いその無常を抱えて生きていかなければならない。2013/07/31
野のこ
11
イタリア語通訳の著者が出会った男女の半生。エッセイながらまるで小説のよう。イタリアの風習や人柄が個性豊かでくすっとわらったり、しんみりしたり。世界観が広がりました。あとシモネッタな彼女のセリフにも☆米原万里さんの章は素直で真っ直ぐであたたかい文章に胸打たれました。読んでて辛かったけど、読んでよかった。「坂」この気持ちを大切にしたいです。2016/10/04
nari
4
著者の翻訳家人生で出会った人々。日本にはなかなかいなさそうなアクの強い人も多いのも楽しい。人生ってやはり諸行無常・盛者必衰なんだなと実感するほろ苦さも味わえます。最終話は米原万理さんとの交流を描いたもの。もともと米原さんのファンで、彼女の著書で田丸さんを知っただけに、彼女とのエピソードは興味深いものがありました。そして泣きました。2012/08/25