内容説明
女子大生vs.藤原教授。『武士道』『福翁自伝』『逝きし世の面影』『きけわだつみのこえ』等を巡り、時に激論!時に人生相談?時に脱線&爆笑。白熱の「読書ゼミ」全公開。
目次
新渡戸稲造『武士道』(明治三十二年)
内村鑑三『余は如何にして基督信徒となりし乎』(明治二十八年)
福沢諭吉『学問のすゝめ』(明治五年)
日本戦没学生記念会編『新版 きけわだつみのこえ』(昭和二十四年)
渡辺京二『逝きし世の面影』(平成十年)
山川菊栄『武家の女性』(昭和十八年)
内村鑑三『代表的日本人』(明治二十七年)
無着成恭編『山びこ学校』(昭和二十六年)
宮本常一『忘れられた日本人』(昭和三十五年)
キャサリン・サンソム『東京に暮す』(昭和十二年)〔ほか〕
著者等紹介
藤原正彦[フジワラマサヒコ]
1943年旧満州新京生まれ。新田次郎・藤原てい夫妻(共に作家)の次男。東京大学理学部数学科卒業。同大学院理学系研究科修士課程数学専攻修了。お茶の水女子大学名誉教授。78年、留学記『若き数学者のアメリカ』(新潮文庫)で日本エッセイスト・クラブ賞受賞。近年は、国語教育に関する問題提起をはじめ、国家の根幹を問う果敢な発言が注目されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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団塊シニア
14
お茶の水女子大学の藤原教授の「名著講義」の受講条件は毎週一冊の文庫を読み、毎週一冊の文庫を買う財力があることです。20人の女子学生が3ヵ月のゼミを受講し課題図書は11冊、指定された本を一週間で読了しレポート提出し活発な議論が交わされている、藤原教授のユーモアのあるゼミは読書の楽しさを教えてくれる。すでに退官されてるのは残念です。2012/05/14
たー
9
江戸時代~昭和初期の著作を用いて、女子学生を洗脳(笑)する講義をまとめた本。私自身未読のものが多かったので参考になりました。私の学生時代にもこういう講義があったら良かったなぁ。2010/08/21
がっち
7
国家の品格で有名な藤原正彦さんの本。内容としてはゼミで取り扱った本を学生と教授との語り口で本を読み解いていくようなもの。主に解説する本は昭和初期、明治記の本である。学問のすすめなどは確かに国民ならば読んでおくべき本であると思う。ただ如何せん、古典は省かれているのが非常に悲しい・・・C2011/01/26
nutts
7
我々があまりに近代日本人について、現代日本の成り立ちについて知らなさ過ぎる、という言われがちな言説のひとつの処方箋。年をとっていささか尖がりが過激になりつつある著者のリードに感化されすぎず、学生達が近代の一ページずつをしっかり受け止め、素直に疑問を呈する瑞々しさに好感が持てる。いまどきの若者は、頼もしいじゃない!2010/03/04
なっく
5
著者の主張は非常に独創的であり、物議を醸すものであるが、「今の常識」から脱却し主体的に物事を捉えることの重要性を説いているのであろう。具体的に言えば、それは歴史や他国の習慣を考察する際、それらの背景に則って考察することで本質が見えてくるということだ。また、「○○のため、と他者の存在を感じることで心が強靭になる」という一文には感銘を受けた。三島由紀夫氏も「自分のために生き、自分のために死ぬというほど人間は強くない」と言っていたが、現代ではこうした真に共有すべき根本的概念が消えかけているのでは。2010/05/07