内容説明
二十代の頃には、歴史小説を悔蔑していた―。毛嫌いしていた歴史小説をなぜ書き始めるに到ったか。著者と歴史との邂逅を語ったエッセイから、古代中国について、司馬・藤沢作品、小林秀雄について、知る人ぞ知る趣味のカメラについてなど…。創作に対する著者の姿勢が立ち現れた、哲学的思索とみずみずしさに溢れる珠玉のエッセイ集。
目次
1 湖北だより(マキの生垣;逸勢の娘の孝心 ほか)
2 中国古代の構図(中国古代の構図;『奇貨居くべし』連載を終えて ほか)
3 カメラ(シャッターボタンを押すということ;時を写せ ほか)
4 他者が他者であること(他者が他者であること;二人の利休 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
21
本の題名の章である他者であることの考察がしっくりきた。他者を考えるに理性と感性のみで考えるのに限界があり、そのに経験が合わさった悟性が必要。それでもわからないのが他者であり、それをひたすら考える歴史というのは小説よりも奥深い。20代では気付かず、必死でいきて30代になってそのことに気づくのが自分にとってもリアル。歴史を見る良さとは、そこに流れる経験は血汗にじみ出ているところにある。2024/12/31
KAZOO
6
出版されてから、数年たつのにまだ文庫化されていないというのは、宮城谷さんの本にしては異質の部分が入っているからなのでしょう。カメラの話があるので宮城谷さんの従来の随筆などを期待されている向きには、合わないかもしれません。ただ著者の興味のあることについても、書かれて本になるというのは著者も一流の仲間入りした証拠でしょう。2013/05/27
shou
4
エッセイ集。趣味のカメラの章なども。最終章が期待通り。表題のエッセイなど読み応えがあった。2016/07/07
BIN
4
文庫本化されるのをずっと待っていたが、全くされないので購入して読んだ。エッセイ集であり、メインは趣味のカメラのこと。金賞を取るほどの腕前だけど、そこまでに至るための技術の習得とかが書かれている。読んでいると本当にいろいろなことを勉強している人だなあと頭がさがる想いです。2014/08/28
たにこ
4
もったいないと思いながら一気に読んだ。宮城谷さんの本を片っ端から再読したくなり、噂に聞いていたカメラの知識に圧倒されて、濃い一冊。宮城谷作品に対峙するときに毎回感じる高揚感は褪せてなくてドキドキした。2009/04/19