内容説明
アマゾンの奥地で遭遇したピンクのイルカとひとつの事故。ただそこにあるだけの「死」と向かいあったブラジルへの旅。
目次
発端
イルカ記
墜落記
終結
著者等紹介
沢木耕太郎[サワキコウタロウ]
1947年、東京都に生まれる。横浜国立大学卒業。79年、『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞、82年、『一瞬の夏』で新田次郎文学賞、85年、『バーボン・ストリート』で講談社エッセイ賞、93年、『深夜特急』でJTB紀行文学大賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
30
フィクションのようなタイトルであるがノンフィクション。惜しまれるタイトル。イルカを取ってしまったほうが売れただろうし、シリアス感が伝わると思う。霊感があるという人がいるが、著者は霊感でなく”旅にまつわる奇遇に出くわす”運命を持ち合わせているのかもしれない。9.11に関わり、ブラジルでの飛行機事故で九死に一生を得る。面白い作品であり、表紙の絵もいい。2021/06/21
アキ・ラメーテ
29
沢木耕太郎さんのブラジル紀行エッセイ。ドキュメンタリー番組のためにインディオの保護活動をしているポスエロ氏に会いに行く沢木さん一行。アマゾン川でピンクのイルカを見たり、船上のハンモックに泊まったりといったアマゾンでの生活が前半、イルカの部。後半は、再度、訪れたアマゾンで遭遇する乗っていたセスナ機の墜落事故にまつわる話。幸い死者も重傷者も無く軽い怪我で済んだけれど、墜落している時には、それはまだわからないはずで、こんな冷静に状況を見て記憶している沢木さん、すごいとしか言いようがない。一体、何者!?2015/08/22
くるり
10
墜落して真っ二つに割れた飛行機に乗っていたにも拘わらず、ケガのみで無事だった沢木耕太郎さん。心から無事でよかったと感じます。ブラジル リオ・ブランコのアネクソで頻繁に食べられたチキンスープには、とてもひかれました。2020/01/29
ぬらりひょん
10
意外にも沢木耕太郎さんはお初だった(たぶん)。ブラジルって広いんだなぁ。乗り継いでも30時間で行ける(それも長いけど・・・)ブラジリアに、足掛け7日間かけてようやく着いた。しかもセスナ墜落・・・。そしてもう一度行きたいと思う沢木さんはすごい。どんな状況も冷静に楽しめる方なんですね。2014/01/11
うぃるこうへい
8
アマゾンの奥地に取材に出かけ、セスナの墜落事故に遭遇した著者によるルポ的私小説。 文章から滲む作家性が「深夜特急」を思い出させ、懐かしくなった。基本的には非常に淡々と物事が語られるのだが、全く気付かないうちに非常に詩的な感情描写が展開されていたりする。「叙事」と「叙情」の交わりがすごくシームレスなのだ。これが凄く心地よいし、「深夜特急」を孤高の存在にしているのはこの文体の影響が大きい気がする。 蛇足だが、作中の「コクブン」氏、以前読んだ「ヤノマミ」を書いた国分拓氏だったのか!あとがきで気づきました。。2022/03/25




