出版社内容情報
蓮根はあの穴が一番旨いと言った百閒、末期まで食い続ける凄絶な子規ら、21人の賢者の食の諸相と哲学をたずねる食味随筆の決定版
内容説明
食は狂気か?獅子文六、内田百〓、徳田球一、志賀直哉、愛新覚羅溥傑ら二十の胃袋から透かし見えてくる、偏奇、狂躁、そして至福。不変にして普遍の痛快食談。
目次
獅子文六―皇太子殿下とパリのレストラン「ポール」
正岡子規―小生唯一の療養法は「うまいものを喰う」に有之候
愛新覚羅溥傑夫婦―すべからく美酒もて生涯を送るべし
内田百〓―オイシイ物シカタベヌハ外道也。オイシクナイ物ヲ好ムハナホ外道也
徳川夢声―『戦争日記』空きっ腹との果てなき“闘い”
長谷川伸―越しかたは愉しからずやそこはかと思いうかぶること悲しくも
秋山徳蔵―“天皇の料理番”が私に教えてくれたこと
村瀬忠太郎―幻の名著、昭和五年刊『蕎麦通』を読む
斎藤茂吉―鰻を食ふは楽しかりけり
池田弥三郎―銀座天金の御曹司日く。「私は江戸っ子ではない」〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
21
「諸君」に掲載されていたのは15年余り前。でも何やら大正~昭和のセピアの香りが。賢者・・何を持って冠を付けるかの異論はあろうけど俎上に乗るのは多くが小説家、そして政治家、役者。何の縁かあい前後して読んでいた本とのリンクを見つけたのも楽しい(山本嘉次郎と岩谷氏)まぁ生粋銀座の育ちなら明治大正に長者の名をはせた人とは繋がっていたんだろうね。それにしても筆者はなかなかの粋人、地方大学の教職にあるらしいが文が立つ。言葉の一つ一つの手触りがジャパネスク。古き良き「和」の奥深さを堪能させてくれる。2014/12/16