ヴェネツィアの宿

ヴェネツィアの宿

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  • サイズ B6判/ページ数 285p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163479705
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

出版社内容情報

父や母、また人生の途上に現われ、消えていった人びと。その人びとが織りなした様々なドラマは何だったのか。名文で綴る人生の検証

内容説明

記憶の中から鮮やかによみがえるかけがえのない人間の物語。名エッセイ12編。

目次

ヴェネツィアの宿
夏のおわり
寄宿学校
カラが咲く庭
夜半のうた声
大聖堂まで
レーニ街の家
白い方丈
カティアが歩いた道
旅のむこう
アスフォデロの野をわたって
オリエント・エクスプレス

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

33
フェニーチェ劇場の広場に面する宿に泊まった夜、聴こえてくる音楽に身をゆだねながら、亡き父に思いをはせる「ヴェネツィアの宿」を皮切りに、須賀さんの父母、夫や友人たちにまつわるお話が、計十二話つづられています。「ヴェネツィアの宿」は、何度も繰り返しよみたい名作。また、父との別れを描いた「オリエント・エクスプレス」は、涙なしにはよめません。『トリエステの坂道』よりも、いっそう須賀さんとの距離が近く感じられる作品だったように思います。苦悩や葛藤が描かれていたからこそ、感情移入しやすかったのかもしれません。2015/08/19

アマヤドリ

15
家族のものがたりに胸がいつまでもつうんとする2011/08/31

sasa-kuma

8
情景がくっきりと鮮やかに浮かび上がりまるで色つきの夢を見ているような心地。エッセイだけど小説的。空気中に漂うように流れる文章。久しぶりに読んだ須賀敦子さんのエッセイ、やっぱり大好きだ。日本、イタリア、フランスでの日々、家族のこと、出会った人たちのこと、章の構成のバランスが素晴らしい。2013/04/28

algon

7
乱暴な言い方をすれば「お嬢様の自分探し」なのだが、夫を亡くし帰国後教職に就きながら翻訳から文筆業にシフトしていくという人生の初期、彼女らしく真摯で誠実な生き方の姿勢がこの1冊だけでも好感を持って受け入れられる。フランスからイタリアへ留学先を変えながら将来を探す著者は戦後間もない頃には恵まれた先駆者だったのだろう。しかし「カティアが歩いた道」他のような優れた作品を読むとこの作家が生成してきた歩みを知りたくなる。それほどの魅力を持った美しい文体だった。不勉強ながら全く未知の作家で読む傍らETV動画などで勉強。2019/07/29

amanon

7
著者の手による文章の美しさ、巧さには本当に惚れ惚れする。特に印象的だったのが、著者の父親に関する幾つかのエピソード。わがままでエゴイストなのにも拘らず、ここぞというときに寛容さや憎めなさを示すというところが何とも言えずグっとくる。こういうのが明治の男だったのだろうか?そして、死ぬ間際まで娘のヨーロッパ土産を待ち続け、それを目にした翌日に帰らぬ人となったという話には、涙を誘われる。嫌味にならない育ちの良さと、深い教養を兼ね備えた美文家…こういう人は、今後そうそう現れないだろうな…2011/09/21

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