出版社内容情報
作家として歩みだした四十代から臨終までの文豪の姿を次男が綴る。他人には窺い知れない「文壇の紳士」の内面が浮彫りにされた好著
内容説明
新聞記者時代、新進作家時代、栄光の時代、井上靖は“戦う家長”として奮闘した。文壇では冷静な紳士と思われていたこの作家の日常生活に、どのような創造のデーモンが吹き荒れていたか。ある意味で、その被害者だった著者は、井上靖の実像を、作家的な眼で描く。
目次
父、家庭では紳士と言えなかったこと
父、俗世間を棄てること
父、過去を悔やまざること
父、交際の才に恵まれていたこと
父、人間が丸くなること
父、アルコール漬けになること
父、骨の髄から詩人であったこと
父、チャンスに恵まれること
父、戦争体験を語らざること
音楽、この父と対極にあったもの
父とノーベル賞の噂のこと
父、美術と柔道を一生の友とすること
父、怪力乱神を語らざること
父、手紙を書かざること
父、「正確」を信条とすること
父が尊敬した人々のこと
父、闘病では勇猛な戦士であったこと
書斎と書庫、殉死のこと
