出版社内容情報
島崎藤村の最初の妻について史家は余り触れない。開明的な都市函館の実家と旧家出の夫の「家」の観念の相克に悩んだ知的女性の生涯
内容説明
「文豪」の最初の夫人の知られざる生涯と死。旧家出身の詩人と、開明的な商人の娘の「家」をめぐる葛藤。文学史の定説を覆すノンフィクション。
目次
函館・網問屋秦商店
東京・明治女学校
お冬と藤村の結婚
小諸・士族屋敷
東京・西大久保―新片町
その後の島崎家と秦家
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
40
正直、名前を存じ上げなかった方だけに、適確な内容をしっかりした骨組みに沿って、選ばれた言葉を用いつつ、配慮をそこいらじゅうに散りばめた力作に舌を巻いた。藤村と言いや、学生時代には当然ながら「読むべき文学」の一つ。ご多分ず手に取った10代では深奥を覗き込むべくもなかったと思うが普通に感嘆した。島崎家等の旧家が廃退する様を凄絶に描いている。日本に近代化のためには避けて通れないテーマ。。。だが。最初の妻冬の身内である筆者は「家」への夢を捨てきれずもがいた軌跡を語る。作家藤村に感じる「魅力と毒」生活感覚の相違~2020/05/10