聖夜

聖夜

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  • サイズ B6判/ページ数 231p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163297903
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

“俺は記憶のないころから鍵盤に触れてきた”。聖書に噛みつき、ロックに心奪われ、メシアンの難曲と格闘する眩しい少年期の終わり。

内容説明

少し早い、俺たちだけの聖夜。そのオルガンは、特別な音で鳴った。18歳の少年が奏でる、感動の音楽青春小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おしゃべりメガネ

178
タイトルにあるようにクリスマスに読むべき作品なのは間違いないですね。ある高校のオルガン部で活動する若者達のまっすぐな青春を描いた作品です。主人公は幼い頃、母親が家を出ていってしまい、今は牧師の父親と温かい目で見守ってくれる祖母との三人暮らし。話の雰囲気はとても好きでしたが、話の本筋がイマイチ自分にはつかみきれず、主人公の覚醒および再生なのか、そもそもパイプオルガンをクローズアップしてるのが、なんとも不思議でした。不思議な後輩「天野」さんのキャラをもう少し生かせてほしかったですが、素敵な音楽青春小説でした。2019/12/24

takaC

120
他の人の予約がないのをいいことに図書館本を7週間もキープしてしまった(延滞は無し)が、読み始めたら一気読み。若干青くさい気もするが、なかなか良い本だった。さすが青少年読書感想文全国コンクール課題図書。2012/01/31

しろいるか

118
『第二音楽室』同様、school and Musicが題材。主人公の成海一哉は、牧師を父に持ち教会に住まい、キリスト系の学校に初等部から通って聖書研究会に所属、学校の礼拝で奏楽を担当するオルガン部の部長というかなり特殊な環境で育った高校生。宗教に不案内なため、物語前半なかなか馴染めなかったが、「わざとやらかした」礼拝奏楽以降は一気読み。祖母、父の意外な一面そして出て行った母への思慕や、徐々に開かれていく友人や後輩との関係などが彼のオルガンにも変化をもたらす。丁寧に気持ちを紡いだ良作だと思う。2012/02/16

風眠

97
自分がオルガンを弾くと、男と出ていった母親を思い出すから、そして家族がそのことを思い出し、嫌な思いをさせてしまうから、なにより母が許せないから、だから真剣に音楽に向き合わない。本当は誰よりも音楽を求めているのに、素直になれないのはとても苦しいことだ。そういう自分の気持ちにさえ、気づかない思春期の心。ふわふわと掴みどころのない文章と、礼拝堂に鳴り響くオルガンの音色が、静謐な雰囲気を作り出し、読んでいてとても居心地がいい。耳鳴りのように薄く遠く、オルガンが聴こえてくるような物語。2012/06/02

ちはや@灯れ松明の火

88
指先から生まれた音が空気と共に心も震わせた。オルガンに染み込んだ苦い記憶、家族を棄てた母が残した傷痕は罪という名、優しかった面影も今尚疼き続ける痛み。神様を無邪気に信じているような子供じゃなくて、絡まり捻じれた苛立ちを正論で解きほぐせるほど大人になれない。けれど、閉じた世界の壁を崩すのもまた音楽。風が鳴らす音が鮮明な色彩へと変わる。毀れたと思っていた家族の絆も、演奏の楽しみを分かち合える仲間との繋がりも、まだ、その掌の中にある。祈るように奏で、奏でた音が祈りとなり、聖らかな夜に、音楽が降り積もっていく。2011/01/13

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