出版社内容情報
明暦の大火から10年、伊三次とお文の夫婦には長女お吉が生まれる一方、伊与太は父の跡を継がずに、絵師になる修行に励んでいた。
内容説明
大火で住み慣れた家を失った伊三次とお文。あれから十年、二人は新たに女の子を授かっていた。そんな二人の目下の悩みは、独身を続ける不破龍之進と絵師になる修業をしている一人息子、伊与太の身の上…。
著者等紹介
宇江佐真理[ウエザマリ]
昭和24年北海道函館市生まれ。函館大谷女子短期大学を卒業。平成7年「幻の声」でオール讀物新人賞を受賞し、受賞作を含む連作集『幻の声―髪結い伊三次捕物余話』で一躍注目を集める。平成十二年『深川恋物語』で吉川英治文学新人賞を、翌十三年には『余寒の雪』で中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shinji Hyodo
89
前作で焼け出された伊三次一家だが、家を失う代わりに可愛い子を授かった。『きィちゃん きィちゃん』と呼ばれる素直でおしゃまな九つの娘だ。息子の伊与太が絵の修行で留守にする伊三次一家をほのぼの癒してくれている。ところで、今作の全編通して描かれるのは『不破 龍之進』の嫁取りのお話。十四で同心見習いとして出仕した龍之進がなんと二十七歳の立派な青年に成長しているわけで、六編通して焦ったさもありつつの宇江佐さんの愛情を感じる江戸情緒であった。2016/05/11
ひらちゃん
58
一気に10年とは…。お吉ちゃんて誰?最初は戸惑いました。何はともあれ皆さんお変わりなく安心安心。と思う間もなく、龍之進の体たらく。お文でなくてもガツンと言ってやりたくなりましたね。そして後から後からこの娘なのか、と期待たせて最後にやっと纏まって。新婚生活も気になるし、ハラハラするなぁ。伊佐冶のでれ親父ぶりも微笑ましい。2018/10/16
きりこ
49
前作を読んで丸2年のブランク。本を開いたら10年後の話になっていてびっくり。何冊か飛ばしてしまったのかと思った(笑)お吉の登場場面は何処の家のことかと、しばらく分らなかった所が自分には面白かった。清々しかった龍之進の変貌ぶりに驚く。どうなるのだ龍之進…。と龍之進の話が中心で今回も伊三次やお文の出番が少なかったのが少し寂しい。伊与太のことも気になる。続編に期待!2013/07/12
万葉語り
48
シリーズ9作目。前作から10年が経過して、お文と伊三次には娘お吉が授かっている。梅床を助けながらも小者を続ける伊三次と、大年増ながら芸者を続けるお文の生活は変わらないが、伊与太は家を出て、絵師見習いになっている。人の過去は決して綺麗なだけのものではなく、でも過去の全てが今の自分を形作っていることを伊三次が龍之進に諭す表題作がいっちオススメ。2016-572016/02/22
たち
43
あの火事から10年後になっていて、驚きました。なんと、伊三次とお文には、きィちゃんという娘さんが生まれていたんですね。今回は全体を通して、「龍之進さんの嫁探し」という感じでした。出てきたどの娘も、色々なものを背負っていて、それはとても切なかったです。龍之進さんとてけてけがどんな家庭を築いていくのか、これからも楽しみです。2017/01/13