内容説明
ほの暗さの快楽。若き「実存主義作家」の最新短篇小説集。
著者等紹介
中村文則[ナカムラフミノリ]
1977年、愛知県生まれ。福島大学行政社会学部応用社会学科卒業。2002年、『銃』で新潮新人賞を受賞してデビュー。2004年、『遮光』で野間文芸新人賞を受賞。2005年、『土の中の子供』で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
82
中村文則全作品読破プロジェクト。今回は「世界の果て」です。これで13/16。著者初の短編集。個人的には短編よりも長編の方が上手い気がします。本作の中では表題作の「世界の果て」がオススメです。短編というよりも中編に近いですが・・・2015/05/22
れみ
76
自分の部屋に戻った「僕」が目にしたとんでもない光景から始まる4つのお話(表題作)。繋がっているようで、そうでもないようで、でもやっぱり繋がっているような。なんとも不思議で、理解の範疇を超える展開かと思いきや、ぐっと興味を惹かれる展開になってみたり。今回、中村文則さんの作品では初めて短編集を読み、そのせいか、今まで読んだ6作品の中でいちばん、捉えどころのなさというか、不条理さというか、鬱々とした感じというか…、そういう面が際立っている気がした。2019/12/05
めしいらず
69
何と言っても「ゴミ屋敷」が見事。ある日、男は虚無に囚われた。何もない真っ暗闇の巨大ながらんどう。その虚空を物理的に埋め尽くす行為は、彼なりの折り合い方だろう。そんな彼を取り囲む人々が見ているのは、彼という鏡に映ってしまう自分自身。それぞれが自分のやり方、もしくは周囲と口裏を合わせ、正当性を主張する事で罪悪感を薄めるのだ。著者は誰の事も責めない。そして虚無の均衡は崩れ、彼は日常に戻る。絶望的な四つの話からなる表題作、著者らしい「月の下の子供」も好き。「戦争日和」「夜のざわめき」は狙った感じがあり、いま一つ。2017/10/05
キク
64
カフカもそうだけど、上手に絶望してそれを文学として昇華させることができると、その絶望が独特のユーモアをまとう気がする。いや、でも、どうなんだろうな。カフカや中村をユーモラスだと感じるのって、作家の意図ではなくて、読み手である僕の資質に由来している気もする。「犬に喰われるほど、人間は自由だ」と藤原新也は言った。「絶望を面白がるほど、人間は自由だ」と、僕は言ってみる。、、、ん?なんとなく書いたけど意外と真理なんじゃないか、これ。2023/02/07
ヘタ
60
なかなか理解がすすまなかったです。ものすごくスープラ現実。モヤモヤした考え、気持ちを言葉で表象させているのか。ただ方向定めず、ペンを走らせているのか。読んだ誰かが意味付けするのか。もっと創作を読んで、機会をつかまえて挑戦します。2018/03/23
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- 和書
- 池井昌樹詩集 現代詩文庫