内容説明
安政の大地震、江戸が壊れた。崩れる町、失われるいのち。それでも揺るがぬかけがえのないもの。家族の幸せとは何かを問う感動の時代小説。
著者等紹介
杉本章子[スギモトアキコ]
1953年福岡県生まれ。ノートルダム清心女子大学国文科卒業。79年『男の軌跡』で第四回歴史文学賞佳作に入選。89年『東京新大橋雨中図』で第百回直木賞を受賞。『おすず』は第八回中山義秀文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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れみ
70
信太郎シリーズ6作目。前作で目の見えなくなった信太郎とその側で世話をするため女中奉公を決意したおぬいに新たな展開が。信太郎が大店の旦那として、おぬいを守るため、様々思惑を巡らせるの、いいなあ。そして…表題作で大きな心境の変化があった母・おさだと千代太の会話が本当に素晴らしい。そしてついに迎えた祝言の日。ふたりに関わりのあるたくさんの人が集まる楽しさとそこにいない人のことを思うときの切なさ。手代頭の助四郎はやっぱり何事もないってわけにはいかなかったし、まだ因縁のある登場人物もいるし、最終巻が気になる。2019/07/10
えむ女
35
再読。このシリーズの中で一番印象深い巻。信太郎の目が癒え、千代太も奉公先で辛抱し、妹おゆみも好いた人のもとに嫁いだころ大地震が襲う。そして信太郎とおぬいは祝言を挙げることになる。彦作夫婦の最期には涙。本当にいいシリーズ。2016/01/10
ぶんぶん
22
【図書館】信太郎を取り巻く周囲が騒がしくなる、渦中の信太郎は、そんな中、奇跡的に眼が見える様になる。 喜ぶおぬい、初めて見えたその光景がおぬいの指先とは。 おゆみの祝言、卯兵衛の一周忌も終わり、後は信太郎・おぬいの祝言と思いきや、安政の大地震が起こる。 何とか無事だった家族で祝言を執り行うが、そこには彦作・お勢夫婦の姿は無い。さぁ、これからだ、信太郎・おぬいの明日は明るい。 捕物帳の話しは変わってしまった様だ商い物に話は変わってしまうのか。思えば「火喰鳥」から装丁も話も変わって来たようだ。いよいよ最終巻。2019/05/03
あすか
15
やっぱり杉本章子さん作品の女は強い!!女は守ってもらうだけじゃなく、好きな男を守ることをしなければ!信太郎も成長して、どんどん立派な男になっていく!でも2人の運命は上ったり下ったりだ。信太郎の目の問題に安政の大地震。苦難と喜びが休む暇もなく押し寄せてくる。悲しい部分が多くて胸が潰れそうになったけれど、その分晴れやかな場面では胸がいっぱいになって涙が出そうだった。次巻でついにラスト!2020/07/03
星落秋風五丈原
12
安政の大地震、江戸が壊れた。崩れる町、失われるいのち。それでも揺るがぬかけがえのないもの。家族の幸せとは何かを問う感動の時代小説。 日本の歴史の中で、幕末から維新へと移り行く時期ほど激しく動いた時期はない。転換期を生きた日本人といっても、さまざまな階層の、またさまざまな分野・職業の人がいようが、如何に生き、どのような感慨を持ったのだろうか。 2007/11/03