内容説明
私はいまごろやっとあの街を発ち、少しずつ帰路についているのだろうか。9・11テロ事件の衝撃と恐怖から六年。たった一人の父の死を経て、心から言葉があふれだす…。NYと信州、強くやさしい人たちの姿を描く書下ろし六百枚。
目次
消えた犬・1
9月11日
消えた犬・2
9月11日・承前
夏の父
9月11日‐9月12日
刺さった蛇
9月13日‐9月22日
冬の路上
9月23日‐11月6日
Kがいた夏
11月19日‐1月18日
辺境の国
帰路
切り倒された木
著者等紹介
小林紀晴[コバヤシキセイ]
1968年、長野県生まれ。新聞社を退社後、95年、アジアを旅する日本の若者たちの姿を写真と文章で描いた『ASIAN JAPANESE』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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踊る猫
22
「人生とは何か」なんて今どき手垢に塗れてカッコ悪いテーマだ。だが、小林紀晴という書き手は911の記憶と父の死の体験を入れ子式に語る過程でどうしてもこの問いと向き合わざるをえなかったはずなので、その真摯な態度に胸打たれる。今でも生々しく当時のことが蘇るNYCの日記形式の記録も、父をめぐる記憶も(個人的にはポール・オースターすら彷彿とさせられ)実に感動的だ。だが、両者は噛み合うようで噛み合っておらず、どこか思い出話を2本読んだ後のような尻すぼみな感触を覚える。しかし、この「続き」を期待したくもなり困ってしまう2022/08/30
ちゅに
1
小林紀晴さん久々に読んだけど、すごく良かった。911を体験した話ってちゃんと読んだことなかったから、知らないことがたくさんあった。ニュースだけ見てたら分からないその場所の空気がそこにいるように分かる。お父さんの話も、その時々の感情がストレートに書かれていて、自分まで辛くなった。2017/02/07
izumingo
0
92009/03/19
T
0
p462020/11/08