内容説明
教室でもチャットルームでも「いるだけの人」トオルと誰にも見えない親友ヒカル。得体の知れない殺人者の潜む校内、殺された少女の幽霊が彷徨い、地下にはもう一つの中学校が…。悪意が作り出した死の世界のただなかへ、絶望、不安、恐怖の闇の階段を、トオルは、希望と想像力だけを武器に、降りて行きます。はじめて愛した人を救うために。
著者等紹介
辻仁成[ツジヒトナリ]
1959年、東京生まれ。89年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞し、作家デビュー。97年「海峡の光」で第116回芥川賞受賞、99年「白仏」の仏翻訳語版Le Bouddha blancで、仏フェミナ賞・外国小説賞を日本人としては初めて受賞。文学以外の分野でも幅広く活動し、監督・脚本・音楽を手がけた映画「千年旅人」「ほとけ」「フィラメント」でも注目を集める。2003年より渡仏(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なつ
18
不思議な世界に迷い込んだような気分のまま読了。でも、まだ「子供」と呼ばれていた頃は、誰にでも灰色はあって、自分にしか見えないヒカルがいたのかもしれないなーと、漠然的にそう思いました。前作とされるピアニシモを読んでからの方がよかったのかも、と思いましたが、うーん、どうだろ。2016/07/12
syaru
3
主人公の内面を表すように、今にも崩れそうな不安定で儚げな世界感が印象深かったです。子供が持つ世界というのは個人個人でそれぞれ違う特色に満ちていて、でもそれは成長に伴っていずれ必ず終わりを迎えてしまうものなんでしょうね。大人になるって悲しいことなの2017/08/05
ムー
2
なるほどの衝撃的な内容です。当時はこんな世の中でしたね。2022/09/26
調“本”薬局問悶堂
1
デビュー作『ピアニシモ』の主人公の話。 続編ではなく作り直しという感じ。 文章が上手くなった仁成がいた。 やっぱり好きだし、大好きなんだけど、こう内側から込み上げてくる衝動みたいなものは前作の方が大きいとのだ。それは、前作は内から込み上げてきたものが書かれてるのであって、今回は、書かれているものに時間と技術が加わり……とにかく上手いんだな。 でも久しぶりに仁成の“灰色”を感じる小説を読めてとても嬉しい。恋愛小説よりも私は好き。 この仁成が今年のライブで見られたらいいな。 《2020年5月 登録》2007/06/28
ルナ
1
シラトと主人公の関係性やキスシーンなどは臨場感があって良かった。海峡の光やピアニシモから感じていたが、心情を描くのが天才的にうまい。2019/06/15
-
- 和書
- 災厄の方舟