内容説明
軽井沢で過ごした夏。死を覚悟してアメリカとの戦いを決意した少年時代。日比谷高校の級友との交流、青雲の志。そして四歳上の女性と恋におちる。フランス留学生試験に首席合格。しかし思いがけぬ自動車事故で妻を喪う。さらに息子が海難事故に見舞われて…。それでも、教授は笑いつづける。
著者等紹介
篠沢秀夫[シノザワヒデオ]
昭和8(1933)年6月6日、東京生まれ。東京都立一中、日比谷高校に在学中よりアテネ・フランセでフランス語を学ぶ。昭和28年、学習院大学文学部仏文学科入学。昭和32年、東京大学大学院修士課程入学。昭和34年、フランス政府給費留学生試験に首席合格して、パリ大学に留学する。昭和48年より学習院大学文学部教授。平成16年に定年退職して、名誉教授となる。フランス文学に関する多くの著作や翻訳の他、TVでも人気を博し、「教授」と親しまれている
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感想・レビュー
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夜間飛行
27
昭和15年夏の軽井沢、陽光の中で白く膨らむふくらはぎ…少年の健康なフェティシズムから話は始まる。やがて日米開戦。「東洋で戦闘機を作れるのは日本だけだ、日本は西洋に負けない」と信じ、B29へぶつかる特攻機を見て神風後続隊に入隊する。夢のような戦闘への思いと美しい母娘への憧れを抱いたまま終戦を迎えた少年は、米軍占領下にあって、西洋を知るためフランス語を学ぶ。本書で特に感動的なのは、女性への愛の目覚めだ。国を愛するのは女性を愛するのと同じことのように思われた。フランス文学史講義にも通じる教授の人間観は爽やかだ。2013/11/29
飼い猫の名はサチコ
2
児玉清さんの本で紹介されていて、篠沢教授の本を初読み。クイズダービーの低正答率のニコニコおじさん(失礼)という遠いイメージを覆す、出色の自伝的小説かつ、貴重な昭和史。妹尾河童の少年Hを思わせる学童期に始まり、青年期から成人後の日々が、見事な筆致で書き上げられており、出会えて良かったと心から思えた作品。これを機に、篠沢教授の本業の著書も読んでみたいと思った。2022/10/07
ゆかりん
1
とても分かりやすい文章で クイズダービーに出ているときは感じなかったがとてもステキな人なんだなぁ〰っと思った2018/07/06
G-man
1
篠沢教授 見直しました。 クイズに外れても外れても堂々としてた。2013/07/25
ray
0
篠沢教授の甘く厳しい半生。2011/10/03