内容説明
2.26事件前夜。北支の前線で心と体に深い傷を負った若き将校は、退役後、友の命を奪った思想的巨人の命をつけ狙う。京都の女子高で教鞭をとる女は、同僚と倫ならぬ逢瀬を重ねていた。持ち込まれた良縁にすがりながら、心の空漠は埋められない。その二人が出逢い、心を通わせる。しかし男の狙う相手は女の婚約者。時代の渦が二人を飲み込んでいく―新京、東京、京都で繰り広げられる愛と憎しみの連鎖。松本清張賞作家が人の心の「負のつながり」を描ききる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
野の花
5
帯の説明も作者のプロフィールもなくタイトルだけで借りた本です。あらすじがあったら借りなかったかもしれない。昭和10年頃の話です。その頃の時代背景が知れて良かったかな。2017/11/05
たまご
3
2・26事件の周辺のお話でした.嫌い嫌いも好きのうちとはいうものの,憎しみと憎しみでつながっていく関係はつらいです.現代の欧米・中東・民族独立にもつながる関係ですよね・・・この解決につながりそうで,でも最後断ち切られた感のする終わらせ方がまた当時の雰囲気を感じさせ.このタイトル,装丁と中身の差にびっくり.2013/09/05
ろに
0
ラストでは自分もひややかな気持ちになった。あれだけ、登場人物が皆感情が激しくぶつかりあってたのに、こんな冷静な終わり方をするとは。そして土師は多くを語らず.…2014/02/08