内容説明
惨苦のはての澄明、しぶとく苦いユーモア。戦争の記憶が風化するにまかされる今日、この稀有の作家の営みは永久保存にあたいする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
michel
16
★4.2。戦争小説。とはいえ、それ特有の悲惨さや悲壮感かなどは省かれ、作者曰く「不様な自分の認識」が魅力の私小説。行軍に耐えられない虚弱な徴収兵の作者が、どのように’戦争’や’軍国主義’や’戦後’を見るのか。当時、日本民族の直面した戦争軍国主義を斜視する’天皇赤子’が、その靄を自身でどう処理付けていたのかがむき出しのまま直截された秀作だと思う。軍事国家に青春期を奪われ、その亡霊に憑かれたままいつまでも’戦後’を生きる作者に軍国主義体験者の生声を聴く。安岡章太郎著「悪い仲間」の読後にぜひ読んでいただきたい。2019/09/21
カルバンク
2
病弱で気弱、全く兵士に向いてない筆者の従軍記。めでたく帰還できるのは筆者のような軍医のお得意様なのかもしれない。死んで楽になる事を夢みて従軍する一兵士。トップの責任と罪は重い。時世を思うとリアルに感じ、ユーモラスな場面でも笑えなかった。2022/03/12
Ryan
0
こういう方もいたんだ、と目から鱗でした。山本七平は大好きですが、違った意味で面白い。2017/03/19
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