内容説明
ミュンヘンとサンフランシスコのあいだで交わされたわずか二十通たらずの手紙が、二十世紀最大の悲劇を克明かつ直截に描きだす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かおりんご
36
小説。読み友さんの感想を読んで、気になったので手にしました。短いのに、グッと心に迫ります。ナチスに傾倒していく親友が恐ろしい。こうも簡単に考えが変わっていくものなのですね。この作品が、戦時中に書かれたということにも驚きです。最後の方のマックスからの手紙は、検閲されることを受けて、わざとしたためた文章なのでしょうか。だとしたら、恐ろしい。2016/10/16
たまきら
25
読後唸った。ユダヤ系アメリカ人男性と、彼の仕事の共同経営者でドイツへ帰国した親友の往復書簡、というかたちで話は進む。そして、徐々に友情は破綻していく。取り返しのつかない事件を経ながら…。まっすぐに友情を貫こうとするアメリカ人(ヨーロッパの人間には耐えられないほどのまっすぐさだ、と前に友人のドイツ人が言ってたなあ)と、自国の政権に徐々に侵され、恐怖に満ちたドイツ人男性の言葉。これがドイツで1939年に大ベストセラーになっていたとは。そして、女性が書いたものだとは。ケーテ・コルヴィッツを想った。秀逸。2016/10/14
Noriko
15
タイトルにひかれて読みました。お互いの家族までを思い合う良き理解者同士。アメリカサンフランシスコ〜ドイツミュンヘン間で、ヒトラー政権下の頃に交わされた手紙形式です。ドイツ側の筆者がユダヤ人排除の考えに傾倒していく様子が描かれ、恐ろしくなりました。終盤でサンフランシスコからミュンヘンへ届く手紙の意味を知った時、、、上手く言葉が見つかりませんが、今年読んだ中で一番の衝撃作でした。2017/10/30
coco
10
政治や宗教には思い入れが違って当たり前なのはわかる。その時その場所に生きていないとわからないことだってあるかもしれない。だけど・・・。帰国したマルティンが社会にどんどん飲み込まれていき、かつては固い絆で結ばれていた友人同士がこのようなことになってしまったのはとても悲しい。あれこれ言う前にまずは当時のことを知る必要が私にはあると思う。2012/08/09
むさみか
7
最初読んだときは これが 仕組まれた 「復讐」の物語だとは 到底 受け入れられなかったのですが・・・ 衝撃的な作品です2016/03/28