出版社内容情報
老作家の許で密かな妄想を紡ぐ秘書、年下の青年の「手」に惹かれる中年女性……。"エロス"には様々な形がある。妖しく艶かしい六篇
内容説明
不能老人の持つ乾いた尼い。義理の息子への激しい肉欲、美に執着する醜い男、異端の老大家の癒しがたい孤独…。禁色のエロティシズム!ひそやかな官能の風景。身をゆだねてしまえばいい、追いすがってくる、ひるの幻、よるの夢。妖しく艶めかしい、6つのカタルシス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
eeko
11
6つの怪しく艶めかしい短編集。 もっとも艶めかしかったのは、『秋桜の家』でした。 志保と和馬の恋。あってはならない恋なのかなぁと思いながらも どうなってしまうか気になる作品でした。 『夢のかたみ』はいい話だなぁと思いました。 どの作品も老いをテーマにしていて歳をとることについて かなしくさみしさを感じてしまうのでした。。。(-.-)2014/04/16
キキとジジ
6
お風呂で少しずつ。小池さんは、官能かつミステリーのスパイスがある方が好きなんだよな~。 2019/01/07
青豆
5
もう若くはないという哀しみと、ほんのりと官能の薫りが漂う切ない短編集。華やかに咲いて散るよりも、ひっそりと静かに咲き続ける花の様な女性たちが綺麗で哀しい2014/02/01
あつひめ
5
いい夢なら覚めないでほしい・・・怖い夢は夢であって欲しい。眠っているのか起きているのか・・・自分でもわからない不思議な感覚の中、もったりした空気の中で生きている・・・そんな感じを受けた作品。彼なりの美学・・・鉄男の視線が纏わりつくようで怖い。2009/12/28
一般人A
1
「老い」と「愛」の物語が静かに綴られていく。この揺蕩うような心地良さが、小池真理子さんの作品の良さであると感じる。もっと歳を重ねて「老い」と「愛」を見て、触れて、そしてこの小説再読した時、自分はどう感じるのだろうか。2018/12/12