出版社内容情報
チャイナタウンの三姉妹それぞれの旅立ちと家族の絆──父母の夢の残滓、次女の死、分裂する一家を語り、新しい文学を示す逸品
内容説明
末娘のニーナは早々とニューヨークへ去った。次女のオーナはある日ビルから身を投げた。残った長女のレイラは、妹の死と父母の遠い日の夢と、チャイナタウンに生きる者の絆を背負って、彼女自身の旅立ちを思う。チャイニーズ・アメリカンの新星が放つ心にしみる家族の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobi
71
「骨(Bone)」というちょっと引いてしまようなタイトルながら、そこにはチャイナタウンの喧騒と活気が漲っている。この前に読んでいた、悶々としたモノローグが続いていた二冊(「話の終わり」「これから話す物語」)とまるで違って、テンポの良さとストレートさが心地よい。短く切れの良いセンテンスは、幸せな気分もまれにあるけれど衝突と不満満載の家族の生活を、中国系アメリカ人達の英語と広東語で啖呵を切る世界を、映して行く。その威勢のよいテンポのまま、拭いようのない記憶を、持っていきようのない悲しみの世界を繰り広げて行く。2020/06/21
meri
8
被害者意識ー自分と家族ー自己と他者の問題…。本作はまさにこれに尽きるように思われる。(ここでは移民から生じた)貧しさや鬱憤からくる不満のぶつけ合いが、徐々に家族を蝕み、軋ませてゆく。だが、そんな時、次女が自殺をする。これが一家に決定的な崩壊をもたらす。読後、あくまで救われたのは長女だけだったのではないか、と考えざるを得ないが、それでも彼らにとっては、これが最善の選択であり、ひとつの家族の形であったのである。「全て覚えている」ことは難しいが、それは私たちの罪滅ぼしであり、今を生きる者たちの宿命なのだ。2014/10/07
マサ
1
チャイナタウンの中国移民家族の暮らしと思考、感情が一家の歴史を振り返る形で語られている。移民という境遇や文化的な背景などで家族やコミュニティの絆に対する彼らの意識が強いことは想像できる。しかし、アメリカで生まれ育った三姉妹のその意識は微妙に違っている。長女レイラが想像するオーナ(次女)、ニーナ(三女)の心情、そして、家族と自立心の間で揺れ動くレイラの心情に共感。2025/04/01
Yumikoit
0
中国系の移民の家族。移民の時に書類を書き換え書き換え、いくつも名前を持つステップファーザー。彼の恩人の骨。墓のあり場所。移民としての色々な苦境。2014/04/11
まろ
0
移民独特の、2言語の間で育った人間独特の感覚はとても面白い表現が多くてよかったのだけど、いまいちお話として魅力を感じられない。2014/03/18