出版社内容情報
三月前に死んだ夫は家中の時計のネジを巻いて歩いたものだった。喪失感のなかでも生活は続く。ある日新しいお手伝いさんが来て…
内容説明
ある日ふらっとやってきてそのまま居ついてしまった少女。いまでは一家は彼女のまわりを回る不思議な少女。家族の不思議。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
がぁ
5
アン・タイラーの作品で唯一読んでいなかった作品。家族物を描かせたら天下一品だけれど、かなりきつーいストーリーだった。なぜ戻って家族の一員になったのか納得がいかないのに、何となくそのまま受け入れてしまう、読み手もそうだし、「少女」自身もそうなのかもしれない。緻密な構成で最後まで読ませてしまうところがさすが。2012/06/03
よし
4
何ともすっきりしない読後感。奥歯に何かつまっていて、やりきれなさが拭えない。エリザベスとエマーソン夫人の家族の関係ってなんだろう。マシューとティモシー、アンドルー3人の兄弟の言動の不可解さ。互いにバラバラだけど、エリザベスを通してだけ彼らはつながっている。子どもたちを見るエマーソン夫人は、母親として愛情深く育てたのに、その親子関係はなぜかもろすぎる。一度飛び出たエリザベスがまた戻ってくるのは、「あり」とは? そして、さらにありえない結末。こんな複雑な家族物語は、アン・タイラーにしか描けない。2016/05/23
naonchi
3
バラバラな一家に便利屋として雇われる少女。「家族間の甘え」とは別の「他者への甘え」を背負わされるのに、家族にだけある「許し」は貰えない。自分の家族では叶えられないのに、言わば他者の中に入ることによって得られる平安。こういうことって身近にもあるんだろうなぁーと感じつつ、核家族化の進む現代の日本では少し懐かしささえ覚える。とにかく家族が多いんだもの・・・最後の最後でその「家族ゆえのゆるさ」に居心地悪さを感じ逃げ出す末っ子が一番リアル。2012/01/16
四男の母
0
友人のお母さんにエマーソン夫人が似てて最近介護疲れの話を聞いただけに、なんかわかる気がした。前半はちょっと受け入れ難かったが後半のエリザベスみたいな人がいたらみんなの気持ちが助かるだろうなと思った。2017/07/16
YOMIPITO
0
バラバラになった家族の気持ちが何処からかやってきた少女のおかげで一つになる…なんてよくある話じゃなくて、お互い少し変わった者同士が引きあう話。 この作家の初期作はユーモアが少ないのが特徴だな。2023/02/22