出版社内容情報
赤狩りと猟奇犯罪の時代、五0年代。野望の網にからめとられた三人の男を主人公に、重厚で熱気あふれる筆致で時代相を捉えた力作
内容説明
荒々しいタッチで時代の空気まで描く、暗黒小説の旗手待望の力作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
竜
2
手に汗握る後半は一気読みだった。 派手に暴力を振るって登場した悪党バズが、ラストにかけては格好良すぎ。 決して明るい話ではないけど一読の価値あり。2013/11/07
ともりん
1
猟奇的殺人、ノワール感が読書スピードを遅くするんだけど……読み終わるとすごい作品としか言えない。アプショー、コンシデーン、ミークス。誰が一番死に近かったか? 見事に裏切られたけれど残された命も短そう。ミッキー・コーエン、ジョニー・ストンパナートが実在したというのも、アメリカ人なら臨場感もより感じながら読むんだろうなと思った。4部作の2作読了。2022/12/16
源次/びめいだー
1
暗黒LA四部作第2作目の下巻。2016/05/17
聖月
1
〇物語の4分の3までは、なかなか謎解き部分が進展せず、読む側としても多少疲れた。終盤の謎のたたみかけは「ブラック・ダリア」ほどではないが、さすがにうまいものがある。途中まで、読みながら疲れてしまったのには訳がある。文化や背景や歴史というものが、米国物を意識して最近読み出した評者にはわかっていないのである2002/07/15
c
0
深淵を覗く者は、深淵に覗き返されることを心のどこかで望んでいるのものだ。ダニー・アップショーはその隠された嗜好ゆえにホモ殺し(しかもこの殺人はブラックダリア事件のコピーキャットなのである。またしても、模造)にのめり込む。追っていたはずの犯人にからいつの間にか追われていると気付くシーンや、半ばダドリー・スミスの陰謀とはいえ赤狩りに駆り出され、騙しているはずの自分が騙されていると気付くシーン、そうして浮き彫りになった真の自分を受け入れるためには、三島由紀夫同様ペニスの代替物を自らに突き立てる他なかったのだ。2016/02/02