出版社内容情報
孝謙女帝の看護禅師となって以後太政大臣禅師、法王と比類のない昇進をとげ、ついには宇沙八幡から天皇に就けよとの神託が届いた
内容説明
結ばれた道鏡と女帝。昇華する2人の愛。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
浦
10
道鏡は女帝を守り、吉備真備の助けを得て宿敵・藤原仲麻呂をついに倒す。女帝と結ばれた道鏡は出世し、法王となるが、いつの間にか無かったはずの権力欲に気づく。贅沢とともにあれほど辛い修行をして得た法力も弱ってきていた。歴史通りの結末に向けて進むが、女帝と道鏡の愛情は変わらない。愛情だけ変わらず、そのほかの心や体はどんどん年老いていく。愛を交わしながら腐って朽ちていくような様子は、美しいようにもみえるが決してそうではなく、悲しくなまなましいと言うべきだろう。2017/09/11
助作
1
正直あまり古代史について理解も興味もなかったのですが・・・。資料も少なく作家の力量で補う部分が大きいだけに黒岩先生の力量には感服させられるものがありました。歴史として歪め伝えられているものより、より真実に近い!そう思わせる内容だし、その方が自然だと感じました。2012/11/21
matsu0310
1
☆☆☆和製ラスプーチン道鏡の真実とは?真摯さはまいど十分な黒岩センセイです。こういった後の権力者から忌避されたりするヤツの話の方が、祭り上げられるヤツの話より断然興味深いやね2010/11/23
くが
0
恵美押勝の乱を経て宇佐八幡神託事件に至る。道鏡に天皇となる積極的な野心はなかったという説を取る。気持ちに波はあってもずっと女帝のために尽くし続ける。史実もそうであったら孝謙天皇推しの私は嬉しい。本作から約30年を得て研究がどのくらい進んだの気になる。2025/01/20
1131you
0
道鏡がスキャンダラスな生臭坊主じゃなくて僧侶としての力を持ち終始仏に仕えているのが良かった。称徳も決して色ボケ婆ではない。まさにこういう道鏡が読みたかった。最後まで道鏡に影響を与えた円源のキャラが良い。円源の元から羽ばたいた道鏡と道鏡に安らぎを見出した称徳という二つの師弟関係が対称的2022/05/27