文春文庫<br> ボローニャ紀行

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文春文庫
ボローニャ紀行

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  • サイズ 文庫判/ページ数 253p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167111281
  • NDC分類 915.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

ファシズムと闘い、市民が自らの手で築き上げた理想の街、ボローニャ。街を訪れた著者は、真の豊かな「共生」について思索を深める。

内容説明

「国という抽象的な存在ではなく、目に見える赤煉瓦の街、そしてそこに住む人たちのために働く、それがボローニャの精神」。文化による都市再生のモデルとして、世界に知られたイタリアの小都市ボローニャ。街を訪れた著者は、人々が力を合わせて理想を追う姿を見つめ、思索を深めていく。豊かな文明論的エセー。

目次

テストーニの鞄
二つの塔
柱廊の秘密
大きな広場
チャプリン・プロジェクト
街の動力
山の上の少年コック
歌う修道女たち
大泥棒とこそ泥
社会的発明とはなにか
日常が大事ということ
聖ドメニコ、わが恩人
演劇の役割
そのとき、坊やは、背後から、射たれた
市長の作り方
花畑という名の都市
牛を連れたストライキ
三枚の立て札
二つの選挙
二つのイタリア―あとがきに代えて
旅のノートから

著者等紹介

井上ひさし[イノウエヒサシ]
昭和9年(1934)、山形県生まれ。上智大学外国語学部フランス語科卒。浅草フランス座文芸部兼進行係などを経て、戯曲「日本人のへそ」、NHK人形劇「ひょっこりひょうたん島」などを手がける。47年「手鎖心中」で直木賞受賞、54年「しみじみ日本・乃木大将」「小林一茶」で紀伊國屋演劇賞、翌年読売文学賞戯曲賞を受賞。56年「吉里吉里人」で日本SF大賞、翌年読売文学賞小説賞を受賞。平成11年、菊池寛賞受賞。平成16年、文化功労者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

224
ボローニャについての私の貧困なイメージー赤い街、塔の街、ポルティコの街、ソーセージの街、大学の街。つまり、その内実は何も知らなかったということ。本書は、かつて若き日にドメニコ会の世話になり、また積年の憧れの地、ボローニャの井上ひさし氏による訪問記。すべてがいいことはないのだろうが、これを読むと、ボローニャというのは、ユートピアであるかのごとくに見えてくる。特にここで紹介されている信用組合の制度が持つ活力を私たちも持てないものかと思う。根底にある自負ーパルティザンとして自らの血を賭して戦い獲ったコムーネ。2014/10/04

kaizen@名古屋de朝活読書会

142
ボローニャには一度だけ行ったことがあります。ベニスに1週間いた週末に、時間が余ったので、特急で一駅遊びに行きました。大学へ寄りました。ボローニャ大学が、最古の大学とは知りませんでしたが、図書館には古い本が沢山ありました。井上にさしさんのボローニャ紀行を事前に読んでいれば、もっといろいろな視点で街を歩けたかもしれません。日本のローマ字は、イタリア語読みといってもよいくらい、日本とイタリアとの類似点や文化的な影響はいろいろ考えることができます。井上ひさしさんの、ものの考え方もわかる楽しい本だと思いました。2013/08/26

ふう

65
30年間心の中で温め、思い続けた憧れの地への旅。空港に着いてすぐ鞄を盗られたところから始まりますが、そこから先はボローニャの歴史や市民の知恵に感心することばかりでした。あゝ、だから作者はここへ行きたかったのだなと、これまでに読んだ氏の作品と重なるものを思い出しながら読みました。人に大切なものは何か、街に必要なものは何か、豊かさとは何か、産業や歴史・文化など様々な面から考えさせられます。お金儲けではなく、いい仕事をする喜び。社会からもらったものを社会に還元する意義。美しい自然と同様に守り続けたい精神です。2016/06/29

アキ

34
かつて観光で訪れたボローニャの街の赤い屋根が表紙。井上ひさし氏はこの街を愛した。福岡ブックス・キューブリックで開店時からある本。この本が選ばれて置かれていることに福岡への想いを感じる。ボローニャの街の成り立ちは、1088年に市民が大学を作ったことが礎。青年が学者を選び、学者の家に授業を受けに行き、学生が教授を解任できるシステム。またナチスドイツへのレジスタンス運動、約2万人の市民が参加し、2千人以上の死者を出しても街を守った。文化による街の再生を「ボローニャ方式」と呼ぶ。日本でも同様に市民が街を形作る。2018/10/17

さきん

30
ボローニャをここまで知ったのは初めて。世界最古の大学があるくらいの認識しかなかった。学生のために二階に拵えた道へ出っ張った宿がやがて連なり雨除け道になったり、女性にまつわる本だけを集めた図書館を作ったら、女性学の世界最大の拠点となったり、趣味で始めた古いフィルムの映像を楽しむための修復技術が着目されてハリウッドから仕事を受けて儲けたお金でシアタを作ったり。早い時期貨幣経済に浸ってきたイタリアは額面に囚われない貨幣との付き合いに長けている国だがと我ながらに関心した。2020/08/22

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