コルシア書店の仲間たち

コルシア書店の仲間たち

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  • サイズ B6判/ページ数 221p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784163131900
  • NDC分類 916
  • Cコード C0095

出版社内容情報

ミラノにあった一軒の風変りな書店。そこに出入りする多彩な人々の肖像を、「女流文学者賞」受賞の筆者が流麗な筆致で描きつくす

内容説明

ミラノのある書店を舞台に、貴族から泥棒まで、強烈な個性をもつ人びとがくりひろげるさまざまなドラマ。昨年度女流文学賞受賞の筆者が、芳醇な文体で回想する「ゆたかなる時」。

目次

入口のそばの椅子
銀の夜

夜の会話
大通りの夢芝居
家族
小さい妹
女ともだち
オリーヴ林のなかの家
不運
ふつうの重荷

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nico🐬波待ち中

103
ミラノ暮らしを振り返る回顧録。戦後のミラノにおいて、コルシア書店は自由の波に酔う若者達の小さな灯台のような存在。職種や人種は違っても、仕事帰りにふと立ち寄り語り合う仲間達。僅かばかりの給料で、けれど夢や信念は大きく希望に満ち溢れた若者達の、少々青臭い言動はなんと輝いていたことか。あの頃のひたむきな若者達を羨ましく思う。「人間のだれもが、究極においては生きなければならない孤独と隣りあわせで、人それぞれ自分自身の孤独を確立しないかぎり、人生は始まらない」須賀さんの厳かな教えを、私もじっくり噛み締めていきたい。2019/04/14

吉田あや

64
須賀敦子さんがイタリアで出会い、育み、そして通り過ぎていった時間と、大切な宝物だったコルシア・デイ・セルヴィ書店。共に働く仲間たち、書店のパトロンであるご婦人たちとの交流が、須賀さんの美しい文章で映像のように脳裏に浮かんでは、ふわりと幻想のように消えていく。その中でも一番好きなのが、凛としてピノッキオの青い髪の仙女のようであり、少女のように無邪気で、率直で、高貴な老女テレーサ。その時間を語る文字から放たれる空気のすべてが切なくも美しい。2017/05/13

51
神父で詩人のダヴィデに導かれ、コルシア・デイ・セルヴィ書店ですごした日々の回想録。わたしは須賀さんの作品を、発表から遡ってよみ進めていますが、今回既読作品の要所要所で登場した、コルシア書店についてよみ、周囲ができあがっているジクソーパズルに、残りのピースをはめたような、心地よい気分になりました。感情も描写されてはいますが、ひとびとにたいし一歩さがってしずかにみつめる須賀さんのまなざしが、一貫しており印象的でした。さいごの一章「ダヴィデに」、ここにすべてが集約されているような気がします。2015/09/04

Gotoran

48
著者がイタリア・ミラノ在住期間に深く係ったコルシア書店、そこで知り合った人達との交流を回想したエッセイ、11編。夫々に紹介される人達を生き生きと描き、あたかも身近にいるような錯覚すら・・なにげない日常をさりげなく紡ぎ出された余韻が漂う美しい文章。イタリア文学翻訳者で脚光を浴びエッセイストとしても注目された著者、須賀敦子独自の世界に引き込まれ、静謐で上質なひと時を味わうことができた。2014/10/30

tom

30
夫の死を基準点にして、何年前、何年後という形で始まることの多いエッセイ。登場するのはカトリック左派運動の拠点だったコルシア書店と関わりを持つ人たち。お友達だったからこそ語り合い、知ることができた彼らの人となりを、絶妙なコメントで書き連ねていく。うまいなあと思う。でも、彼らが書店を通して何をしようとしていたのかは、ほとんど語られない。この違和感が読みながら続く。この本は須賀敦子が書店を去って30年以上も経てから書かれたもの。ひょっとしたら、彼女にとって書店そのものは語りたくないものだったのかもしれない。2022/01/23

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