出版社内容情報
ロシアに漂着した大黒屋光太夫は極寒のシベリアを横断し、女帝に謁して十年後故国に帰った。しかし幕府はこれに終身幽閉で酬いる
内容説明
天明二年、紀伊家の廻米を積んだ神昌丸は伊勢・白子の浦を出港し、江戸へと向かった。まもなく激しい嵐に遭遇、船頭・大黒屋光太夫以下17名の乗員は舵を失った船で漂うこと8カ月、ようやくアムチトカ島に漂着する。孤島での4年間の生活の中で一行は次々と斃れ、残るは9名。光太夫は流木を集めて船を組み、カムチャッカ半島へ向う決意を固めた。オホーツクからヤクーツク、イルクーツク、さらに女帝エカチェリーナ2世に帰国願いの直訴をすべく、西の果ての都ペテルブルグへと、厳寒のシベリアを越えてソリの旅が続く。女帝の前で卑屈になることなく堂々と謁見を了えた光太夫は、許されて遂に故国の土を踏む。あの嵐の日から実に10年。しかし、鎖国の世に〈世界〉を見てしまった男を待ち受けていた運命は…。かつて日本人はかくも輝いていた。大歴史小説。



