出版社内容情報
飛行機乗りに憧れていた市郎は、海軍軍人となり零戦のパイロットとなる。しかし彼を待ち受けていたのは人間爆弾「桜花」の特攻隊員と名古屋の町工場に生まれた市郎は予科練に志願し、憧れの零戦乗りとなる。しかし彼に命じられたのは人間爆弾「桜花」で体当たり攻撃することだった。戦場に向かった市郎は、知り合った女学生にほのかな恋心を抱く。しかしついに出撃の日は訪れた……。感動の長篇小説
佐山 利子[サヤマ トシコ]
著・文・その他
感想・レビュー
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馨
28
予科練出身の市郎が桜花特攻隊として出撃し、奇跡的に一命を取り止めてから戦中、戦後、生涯の生きざまを描いています。割とどのシーンも淡々としておりドキュメンタリーチックで、情景描写もあまりないためあっという間に時代が過ぎる感じでした。市郎が恵まれ過ぎて、ここまではあり得ないだろうと思いながらも似通った境遇の人たちが多くいたと思います。戦争が昔の話となってしまった今伝え次いでいくことの大切さ、日本の海には当時の若者たちの魂が眠っており、彼らの思い、決意を忘れずにいることが私たちの使命だと思いました。2018/10/05