出版社内容情報
『三体』著者、劉慈欣による表題作ほか、現代の北京でSNS産業のエリートのひとりとして生きる主人公の狂乱を描いた、『荒潮』著者の陳楸帆による「開光」など、14作家16篇を収録。最先端の現代中国SFを収録した、ケン・リュウ編によるアンソロジー第2弾
内容説明
国家のエネルギー政策に携わる男は、ある晩、奇妙な電話を受ける。彼のことを詳しく知る電話の男は、人類と地球の絶望的な未来について語り、彼にそれを防ぐ処方箋を提示するが…。『三体』著者である劉慈欣の真骨頂たる表題作など、現代の北京でSNS産業のエリートのひとりとして生きる主人公の狂乱を描いた、『荒潮』著者の陳楸帆による「開光」、春節の帰省シーズンに突如消えた列車とその乗客の謎を追う、「折りたたみ北京」著者の〓景芳による「正月列車」など、14作家による現代最先端の中国SF16篇を収録。短篇小説の名手、ケン・リュウ編による綺羅星のごときアンソロジー第2弾。
著者等紹介
ケンリュウ[ケンリュウ]
1976年中華人民共和国甘粛省生まれ。2011年に発表した短篇「紙の動物園」で、ヒューゴー賞・ネビュラ賞・世界幻想文学大賞という史上初の3冠に輝く。中国SFの翻訳・紹介も積極的におこなっている。アメリカ、マサチューセッツ州在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
83
ケン・リュウ編による中国SFアンソロジー。「三体」劉慈欣や「折りたたみ北京」郝景芳、等、現代中国で活躍するSF作家たちの作品が詰まっていて、それぞれに発想や展開に引き込まれ、読み応えがあった。特に面白かったのは、宝樹の「金色昔日」。言ってみれば時間SFなんだけど、天安門事件や文化大革命を悲劇として組み込みながら中国現代史をこんな風に描いていることに驚いた。それでいて、幼なじみとの愛の物語、歴史に翻弄される人生のドラマを描いている。時間の流れとは何だろうと考えてしまう。恐るべし中国SF。2020/09/11
sin
81
夏笳・何故に機械に思考を求む?張・幾京の一つと為れば扱いも軽いオタクの浅慮、一片の歴史と云えど変節を拒む!糖匪・人は定めを受け入れ難い。韓・現代中国の風刺?西洋批判?転がった石は止まらない。程・時に無謀は英雄視されるが多くは結果を省みない。宝樹・歴史を逆に準えて生き様を描くが違和感はなく実人生のよう。郝・定命故に生き急ぐ。飛氘・中華のホラは深遠で哲学的。劉・人類は我が儘な地球の餓鬼。吴・我思ゥ吾妻的情景。馬・皇帝はゲーマー失格。顧・時を遡って…。王・己れの信じたい事しか…。陳・御来迎&変質的終末カタログ。2021/01/14
Panzer Leader
77
ケン・リュウ編集による中国SFアンソロジー第2弾。前作と比較してよりバラエティに富んだ作品を楽しめる上、今現在の熱き中国SFの潮流が感じ取れる。自分のベスト3は時が進んでいくのに歴史的出来事が過去に逆行していく「金色昔日」、携帯の会話だけで地球の未来が様々に変化していく様を描く「月の光」、ゲームオタクの始皇帝が可笑しい「始皇帝の休日」。「三体シリーズ」を始め様々な中国SFをこれからも読みたくなること請け合い。2020/11/10
キムチ27
70
編者曰く、「中国SFの代表的な作品を集めるという意図はないこと、つまり、いわゆるベスト選集を編もうとしたのではない」という。網羅的なものではなく私選集といったテイストに仕上げる想いだろう。現代中国の綺羅星、その予備軍が登場し、個性豊かな味を供してくれている。 印象深かったのは~宝樹「金色昔日」男女ラブストーリーを中国近代史の中に絡めとり骨太なSFになっている。 劉慈欣「月の光」如何にも手慣れた技を感じる・・SF携帯白日夢 馬伯庸「始皇帝の休日」 兵馬俑を脳裏に浮かべつつ猛烈にこけている始皇帝に唖然2020/12/03
NAO
61
中国の現代作家14名、16作品が収められたアンソロジー。中編ともいえる「金色昔日」以外は、かなり短め。「晋陽の雪」張冉(ジャン・ラン)は、タイムトラベルもの。未来から来た男が考えたインターネットもどきがちょっと笑える。「潜水艇」韓松(ハン・ソン)長江に群れをなす潜水艇。潜水艇が並んでいるというだけならよくある水上生活者と同じだが、街の子どもたちが潜水艇を近くで見たさに川に入ってから話が不気味な雰囲気に。「さかさまの空」程婧波(チョン・ジンポー)「ジャックと豆の木」のオマージュのようなファンタジー。2023/03/29