出版社内容情報
歳をとるのが極端に遅い"遅老症(アナジエリア)"のため、16世紀に生まれ、21世紀の今も生き続けている男、トム・ハザード。シェイクスピア、フィッツジェラルド、クック船長らに出会いながら、さまざまな時代の局面に立ち会ってきた、彼の数奇にして波瀾万丈な人生とは──
マット・ヘイグ[ヘイグ マット]
著・文・その他
大谷 真弓[オオタニ マユミ]
翻訳
内容説明
トム・ハザードは約400年ぶりにロンドンへ還ってきた。歴史教師として。以前に彼がロンドンで暮らしていたのは16世紀末―彼は400年以上生きている「遅老症」なのだ。思い出のこの地でトムはこれまでの人生を回顧する。生まれた地での魔女狩り、シェイクスピアとの出会い、ペスト流行、太平洋航海、―そして遅老症の人々による謎の組織「アルバトロス・ソサエティ」への加入。この組織に加入させられてから、トムの状況は一変した。ある秘密の責務を負うこととなったのだ。自身の安全と、生き別れの娘マリオンに会う代償として…。悠久のごとく長い時間を生きる男の孤独と愛を描いた物語。
著者等紹介
ヘイグ,マット[ヘイグ,マット] [Haig,Matt]
1975年生まれ。イギリスの小説家、ジャーナリスト。文芸、児童書、ノンフィクションと、さまざまな作品を手がける
大谷真弓[オオタニマユミ]
1970年生。愛知県立大学外国語学部フランス学科卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
48
使い古されたテーマというと言い方は悪いが、それだけに物語によく馴染む設定でもある。まるでバンパイアのように長大で波乱万丈の人生を生きて、唯一の目標のように肉親を探し続ける男は、偉人たちとの出会いや大恋愛などを時間を超越して語る。こんなストーリーが面白くないはずがない。なかなかのボリュームで読み応えもたっぷり。クライマックスのあっけなさには些か拍子抜けしたが、トムが辿り着いた終着点(もとい出発点)には心が温かくなった。ありきたりだけど良い小説だった。またまた映像化を待ち望む作品が増えたことを喜びたいと思う。2018/10/23
ほちょこ
33
遅老症、何百年も生き続ける人のこと。ウチの叔母は本気で「(自分が)死ねなかったらどうしよう!」と悩んでる頑健な方だが、まさしくその話。何事もほどほどがちょうどいいわね。面白い作品でした。2021/06/22
しゃお
30
歳をとるのが通常より遥かに遅く400年以上生きていながら外見は青年のままのトム。自身の特殊な体質のせいで大切な人を失いながらも、その大切な人の願いのためにも生き続ける様子が描かれています。決して派手な展開を見せる訳でもなく最後も拍子抜けする部分はあるものの、トムが誰かと関わりを持たないように生き続ける事の孤独さが、誰かを本当に愛したからこそゆえのものである事が良く伝わってきてじっくりと読ませます。あるのは今現在だけだからこそ、その一瞬一瞬を大切に生きていきたいものです。2018/12/18
ひさか
29
2018年10月新ハヤカワSFシリーズ刊。2017年7月How to Stop Timeのタイトルで2017年7月英国で出版された、400年以上生き続ける男のお話。出版前にカンバーバッチ主演で映画化が決定していたそうな。映画向きのストーリーで、秘密組織なんかも出てくるし、映画の方は、イメージが膨らみます。2019/09/16
むつぞー
27
「遅老症」のトムは400年以上を青年のまま生きている。愛する人・ローズと娘と別れたものの、自分と同じ症状を持つことになった行方不明の娘を探すことを目的にして…。そして同じ症状を持つ人々の組織「アルバトロス・ソサエティ」への加入することに……。 ◆昨年ラジオで豊崎さんが紹介していたのを聞いて手にした本。 早々にハリウッドで映画化が決まったというのもわかる気がします。過去パートの部分の登場人物にシェークスピアやキャプテン・クックといった華やかな登場人物を揃えていることもあり、過去パートがとても面白かったです。2019/01/04