出版社内容情報
推理作家のクローンとして公共図書館の書架に住まう男。彼の力を借りるべく、謎を携えた麗しき令嬢が図書館を訪れる。令嬢に貸し出された彼の元に立ちはだかった驚愕の事件とは……。SF界の巨匠、ジーン・ウルフの最新作にして、騙りに満ちたSFミステリ
内容説明
図書館の書架に住まうE・A・スミスは、推理作家E・A・スミスの複生体である。生前のスミスの脳をスキャンし、作家の記憶や感情を備えた、図書館に収蔵されている“蔵者”なのだ。そのスミスのもとを、コレット・コールドブルックと名乗る令嬢が訪れる。父に続いて兄を亡くした彼女は、死の直前、兄にスミスの著作『火星の殺人』を手渡されたことから、この本が兄の不審死の鍵を握っていると考え、スミスを借り出したのだった。本に込められた謎とは?スミスは推理作家としての知識と記憶を頼りに、事件の調査を始めるが…。巨匠ウルフが贈る最新作にして、騙りに満ちたSFミステリ。
著者等紹介
ウルフ,ジーン[ウルフ,ジーン] [Wolfe,Gene]
1931年ニューヨーク生まれ。1965年、短篇“The Dead Man”でデビュー。1980年より刊行が開始された四部作“新しい太陽の書”は多くの賞を受賞、SF/ファンタジイ史上最高のシリーズと評されている
酒井昭伸[サカイアキノブ]
1956年生、早稲田大学政治経済学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
oldman獺祭魚翁
72
初ジーンウルフ まぁ面白いっちゃ面白いんだけどなぁ ハードボイドドはどちらかというと得意じゃないので、オマージュされている部分が、もっと解ればより楽しめるんだろうなぁ(''ω'') 設定自体は面白いけれどこの本にミステリー的な要素を期待すると当てが外れると思う。なんというかSFとハードボイルドのコラボみたいなお話かなぁ。それにしても今は亡き内藤陳さんならこれを読んでどう評するのかなぁ2017/08/07
星落秋風五丈原
70
調べ始めた直後に襲われて二人とも裸にひんむかれてしまうのだから、秘密がないと考える方が難しい(しかし普通ならここで二人に動揺なり何なりの反応が見られるのだがあっさりだな)。買い物一つするにも不自由な蔵者スミスが、はぐれてしまった借主コレットとの再会を願いながら聞きこみ。美女と謎と殺人と、貸出期間というタイムリミットつきで、ストーリーの枠はハードボイルド。皆さんご指摘のアレが出てきたのでSFも噛んでると言わざるを得ない。というか、ああいう枠外&人外のものを出すと、文句なしにそちらが無敵になる。2017/09/26
ゆかーん
67
正直、凄く読みにくいです。でもこれはストーリーを楽しむのではなく、世界観を楽しむ作品だと感じました。22世紀の図書館では、「本=所蔵」ではなく「本=蔵者」と呼ばれる小説家の複生体が、人と同じように食事や睡眠を取りながら、図書館に存在しています。長期間貸出がないと、焼却処分される恐ろしい規定が存在するため、本たちは気が気ではありません。貸出が長期間に及ぶと、利用者と本との間に親近感が芽生え、恋心に発展するという設定は斬新で面白いです。この世界では、本との出会いは「運命」と呼んでもいいように思えてきます(笑)2017/08/17
ままこ
66
タイトルと表紙に惹かれて手に取った。人間の体を持った本「複生体(リクローン)」図書館に収容されている“蔵者”という発想とそのリクローンが探偵をするという設定は面白い。どういう風に展開していくのか気になり読み進めていくが文章がまどろっこしい。近未来設定なのにどこかしら古めかしくSFファンタジーにハードボイルドミステリー色んな要素がてんこ盛りの内容だが???何故こういう事をするのか意味不明と思う部分があった。2017/10/07
澤水月
55
この一冊が合わなかった方、本書のウルフ節は超薄いのでぜひ『デス博士の島その他の物語』など絢爛豪華に文章や叙述自体凝りに凝ったやつも読んでほしい…御大84歳の作なんですこれ…。解説くふうしてるなぁ…2017/08/16
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