出版社内容情報
2034年、激化する水利権紛争への対処のためエジプトに駐留する自衛隊に物資を輸送する紅谷は、カミカゼドローンの襲撃を受ける。彼を救助した全身防護服で身長3メートルのカスケリスと名乗る謎の存在は、地球侵略のため調査活動に従事していると言うのだが。
【目次】
内容説明
2034年、ナイル河の水利権とスエズ運河の封鎖問題をめぐる戦乱に揺れる北アフリカ。有志国連合の派遣部隊のため補給物資を運搬する紅谷祐介の車列が、カミカゼドローンの襲撃を受ける。砂漠を彷徨う紅谷を救ったのは、カスケリスと名乗る身長3メートルで宇宙服姿の存在だった。彼は地球侵略のため何らかの調査活動に従事しているというのだが…。一方、地中海を漂流する難民たちを収容する病院船ガラテアでは、偵察機の機長・藤堂直子が未確認航空現象に遭遇していた。そして日本では、自衛隊の極秘機密に関わった青沼玲香の逃避行が続いていた―異星人の視点を借りた著者が、地球文明の“壮年期の終わり”を冷徹に見つめる意欲作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
133
当然クラークの名作へのオマージュと思って読み始めたが、どうも様子がおかしい。優れた異星人による容赦ない支配が人類を進化させるとしたクラーク作品のオーバーロードに対し、欲望と理想のため殺し合う地球人の愚行をスカベンジャーは傍観するばかりだ。地球を侵略しにきたと公言しながら難民を助け、安全に生活できるエリア建設を支援する。その理由が「地球は滅びそうだから関わらず、崩壊局面を観察するため」とは、地球人の文明こそ最高のものとするSF的前提の否定なのだ。本書は小説の形をとったSF論であり、文化・未来論と受け止めた。2026/05/01
いたろう
58
タイトルは、アーサー・C・クラークの「幼年期の終わり」から取ったと思われる。地球より、はるかに文明が進んだ宇宙人によって、干渉を受ける地球人という構図は同じ。舞台は2030年代の近未来、主要な登場人物は3人の日本人で、3人それぞれの視点から、地球を「侵略」しに来た宇宙人との邂逅が描かれる。タイトルの「壮年期の終わり」とは、自分たちでは認識していないが、地球の人間の世界は、文明の終わりに向かっている(らしい)。建付けはSFだが、宇宙人の視点から見たという体で、地球の人間社会に対して、鋭い警鐘を鳴らす野心作。2026/06/08
ヒデキ
32
今からおよそ10年後 日本は、世界情勢の中で移民を受け入れていた (但し、氏名の変更を含め同化政策かな) 世界情勢が混沌としたアフリカ周辺で身長3メートルの宇宙人が現れる 彼らの目的は、滅びいく道を辿っているはずの人類のかんさつでした2026/05/06
信兵衛
19
国、地域、人種に囚われた発想を捨て、地球全体で考えることに移行しないと人類の滅亡は避けらないという、警告を含んだ痛快なSFストーリー。お薦めです。2026/04/19
本の蟲
18
身長約3メートル。宇宙服を着込んだ宇宙人が、出会った人々に「侵略の為の調査だよ」と飄々とのたまうファーストコンタクトSF。名作パロディのタイトルからバカSFの類かと思っていたが、分断と相互不信の行き着く先を描いた近未来の人類は、壮年期というより末期症状。国際法を無視した侵攻と難民の扱い。AIによるフェイクニュースの蔓延。政府の統制から外れた各国軍隊の動き。リアルでシリアスな未来像は恐ろしくも面白かったが、なんだかんだ言っても宇宙人たちの親切が過ぎる。予定調和な締め方が少々残念2026/02/20




