出版社内容情報
2034年、激化する水利権紛争への対処のためエジプトに駐留する自衛隊に物資を輸送する紅谷は、カミカゼドローンの襲撃を受ける。彼を救助した全身防護服で身長3メートルのカスケリスと名乗る謎の存在は、地球侵略のため調査活動に従事していると言うのだが。
【目次】
内容説明
2034年、ナイル河の水利権とスエズ運河の封鎖問題をめぐる戦乱に揺れる北アフリカ。有志国連合の派遣部隊のため補給物資を運搬する紅谷祐介の車列が、カミカゼドローンの襲撃を受ける。砂漠を彷徨う紅谷を救ったのは、カスケリスと名乗る身長3メートルで宇宙服姿の存在だった。彼は地球侵略のため何らかの調査活動に従事しているというのだが…。一方、地中海を漂流する難民たちを収容する病院船ガラテアでは、偵察機の機長・藤堂直子が未確認航空現象に遭遇していた。そして日本では、自衛隊の極秘機密に関わった青沼玲香の逃避行が続いていた―異星人の視点を借りた著者が、地球文明の“壮年期の終わり”を冷徹に見つめる意欲作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
本の蟲
16
身長約3メートル。宇宙服を着込んだ宇宙人が、出会った人々に「侵略の為の調査だよ」と飄々とのたまうファーストコンタクトSF。名作パロディのタイトルからバカSFの類かと思っていたが、分断と相互不信の行き着く先を描いた近未来の人類は、壮年期というより末期症状。国際法を無視した侵攻と難民の扱い。AIによるフェイクニュースの蔓延。政府の統制から外れた各国軍隊の動き。リアルでシリアスな未来像は恐ろしくも面白かったが、なんだかんだ言っても宇宙人たちの親切が過ぎる。予定調和な締め方が少々残念2026/02/20
果てなき冒険たまこ
6
SFの形を借りて今の状況を語っているとしか思えない。近未来でもなんでもなく現在感が強い。実際はどうなのかわかるわけもないけど異星人を引っ張り出さなければ何も変わらない現状への絶望感は深いよね。今まで読んだこの著者さんの作品では一番面白かったかな、タイトルに釣られただけなんだけど。でも内容からすると地球は壮年期どころか幼児期でしかもそのまま終わりなんじゃね?「地球幼年期で終わり」が正確なタイトルだと思う。2026/02/17
sugsyu
2
難民、戦争、フェイクニュースとかなり現代の諸問題をかなり悲観的に発展させた近未来を舞台に、宇宙人の侵略(?)を描くしたファーストコンタクトSF。「侵略」といいつつ登場人物を飄々とした態度で助けてくれる「宇宙人」スカベンジャーたちの描写がとにかく秀逸。圧倒的な異星テクノロジーで軍隊が蹴散らされていくのはストロス「シンギュラリティ・スカイ」に近い爽快さもある。決して善意ではない彼らの真意も、なかなかに捻ったもので面白い。2026/02/20
どどんぱ
2
全然「壮年期」じゃないですよ。成長してない。宇宙人が人類社会のダメなところを淡々と語ってくれて、なんだかスッキリした。他の作品も読んでみよう。2026/02/17
yuki_furu
1
さまざまな異星文明とのファーストコンタクトを描いてきた林譲治。多くの作品が「彼らは何者か」を解き明かす物語であるのに対し、本書では異星人を介在させて「我々は何者か」を語っている。主人公の設定が巧妙で、序盤の小さな違和感が後に「そうだったのか!」につながる。タイトルの下敷きとなったクラーク作品より、アシモフのファウンデーションシリーズを連想した。2026/02/03




