出版社内容情報
売れない役者の佐枝子は、ホラー映画脚本家の紹介で、都内の団地で頻発する怪奇現象を調査するドキュメンタリー映像のレポーターを務めるが、老婆が斬首されたと噂の部屋で大蛇の這いずった跡を目撃し……ギリシャ神話の世界が現実を侵食するホラーSF大作!
内容説明
売れない役者の佐枝子は、ホラー映画脚本家の紹介で、都内の団地で頻発する怪奇現象を調査するドキュメンタリー映像のレポーターを務めることになった。さっそく当該の団地で寝泊まりした朝、窓から外を望むと、隣接する公園で四つん這いの大男を棒で打つ女と、双眼鏡でこちらを窺う怪しいファミレスのウェイトレスを目撃する。不気味に思いながらも周囲の人々に話を聞くと、団地のあちこちで大蛇が這いずったような跡が見つかり、管理人や住民の奇行が目立ち、行方不明者も出ているらしい。さらに、10年前に老婆が何者かに殺されて以来、呪われていると噂の部屋に赴くと、『666』から始まる走り書きと浴室にびっしりと生えた黒い大きなウロコが…第12回ハヤカワSFコンテスト優秀賞に輝いた、ギリシャ神話の世界が現実を侵食する団地ホラーSF大作。
著者等紹介
カリベユウキ[カリベユウキ]
1971年大阪生まれ。2024年、第12回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作『マイ・ゴーストリー・フレンド』(本書)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yukaring
56
日常から非日常への境界線が団地という設定が面白いギリシャ神話×SFホラー。人が少しずつ消え奇怪な現象が頻発する団地へレポーターとして送り込まれた売れない女優の佐枝子。脚本家の指示で団地の一室に寝泊まりを始めるが次第に感じる団地への違和感。奇行に走る人々に大蛇が這ったような謎の痕跡、殺人事件が起こった部屋から広がる謎の空間。不審に思った彼女は現地スタッフの真野と共に怪異について調査を始め、現れたのはギリシャ神話との類似点。少し盛り込み過ぎな感もあるが狂気に満ちた団地の空気やじっとり迫る怪異の描写は怖かった。2025/05/02
塩崎ツトム
15
読んでいる途中、まるで紅茶に浸したマドレーヌを食べたかのような、懐かしい読書体験を唐突に思い出した。そう、あれは小学生のときの夏休み、今はない県立川越図書館で読んだ「ズッコケ三人組」を読んだ思い出だ。具体的には「ズッコケ妖怪大図鑑」である。そういうノスタルジックな気持ちになる作品だった。2025/02/28
vivahorn
6
第12回ハヤカワSFコンテスト優秀作品賞受賞作であるが、大賞2作品よりも格段に優れていた。本作品の方がハッキリ言って大賞だ。選考委員は新人を発掘する能力が皆無。次回は選考委員を総入替すべき。帯に書かれているとおりの三部構成(ホラー・神話・SF)となっており、次第にそれらが見事に融合していく姿が圧巻であった。この作品を読んで、一気にカリベユウキのファンになってしまった。アマチュアでこれだけの文章力・文章構成力があるのは信じられない。次回作がとても楽しみ。別に早川書房以外から本を出しても構いませんよ。2025/03/20
女神の巡礼者
5
第12回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作ということで読み始めたけど、え?ホラーなの?と、少し警戒しましたけど、圧倒的な筆力に読み進めると、いつしか伝奇SFの様相に。半村良さんを思いながら読んでると、最終の第三部に至って、とんでもないSFの本性を現して、個人的に超ドツボに嵌りました。生物の起源だとか真空だとか、私が一番疑問に思っていることに触れる内容だったからです。私だったら本書を大賞に推していたと思いました。是非、第二作、第三作とSFを書き続けて頂きたいです。2025/04/03
jolly
3
最初はよかった。期待もしたのよ。桜は散って、チューリップが色付いてきた。 2025/04/16